第4話 初めての戦
爆発音の響く中、とりあえず進化の秘宝を口にしたボク。
ヒャッハーな松前藩の人間が、アイヌ民族のボクの家の畑を破壊しに来た。
まったく迷惑な話だ。
進化の秘宝が体内に入るのを確認するまでもなく、急な
心臓苦し……やっぱり進化に失敗して、ボクは死ぬのかな……。
進化の秘宝の効果は死ぬか成長速度アップの二択。こんな二択ですらボクは死を引いてしまう程運に恵まれないのか?
動悸はどんどん激しいものになっていく。
息……痛い……もうダメだ……コレ……。
薄れゆく意識の中、地面に群がる芋虫を踏みつぶした感触だけがあった。
視界はブラックアウトした。……はずだった。
次の瞬間、
爆弾がオジサンに向かって
ああ、ダメだよ……オジサンには子供が産まれるんだ!
気が付いたら、オジサンに投げられた爆弾を蹴り返していた。
空中で激しい火花が散る。
それを見た松前藩の旗を掲げた騎馬隊三名が、馬から振り落とされたところだった。
「本物……進化の秘宝はホンモノだったんだ!」
カズミおじさんが叫ぶ。
今の爆発で騎馬隊の一人が死んだ。
同時に、凄まじい速度で経験値が手に入る。
ステータスが更新されるのを初めて見た。
これまでのボクは
それが芋虫を踏みつぶしただけで爆弾を蹴り返せるだけの反応速度と運動速度と、鷹の目とも呼べる不思議な力を手にした。
そして偶然とはいえ殺した、一人の騎馬隊の人間。
みるみる経験値とステータスが上昇していく。
「おい! この畑の主は雑魚だったんじゃないのか?」
松前藩の旗を背中に刺した兵隊が起き上がり、もう一人の仲間に確認を取っている。
「し、知らねえよ、ガキの情報だ、チクショウ、デマだったのか!?」
ボクは畑を荒らされたことに怒りを覚えていた。
丹精込めて作った大根。もうすぐ収穫予定のジャガイモ。
全てが台無しになった。
チクショウ……
チクショウ…………。
――――チクショウ――――
ボクは目の前に転がった爆弾の残骸の破片を、敵兵一人に向かって思いっ切り投げた。
それは普段なら弱者がする必死の抵抗だった。
しかしステータスが大幅に上昇した今となっては。その
それも圧倒的な威力による……。
結果、爆弾の破片は敵兵一人の頭を
再び上昇するステータス。
残りの一人の松前藩の旗を掲げた敵兵が、「ヒ、ヒイイイイイ!!」
と悲鳴を上げ逃げる。
地面には、収穫し損ねたジャガイモが転がっていた。
再び全力でジャガイモをぶつけたところ、敵兵の甲冑をジャガイモが貫いた。
敵兵三名の殲滅が完了した。
「オジサン……ボク……ボク……大根とジャガイモの仇、とったよ……」
「あ、ああ! そうだな!」
旅に出る時が近づいていた。
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