第24話 焼肉パーティー

 Bランクに昇格した翌日、今日は午後から焼肉パーティーである。

 会場は僕らの拠点の庭だ。

 昨日は帰宅後焼肉のタレ作りに没頭していた。タレに漬けた肉も大量に用意しておいた。途中シュガーがソワソワと台所を歩き回っていたので、よほど楽しみなのだろう。

 そして今日の為に魔法具も開発したのだ。肉を任意の厚さに切る魔法具である。アイヴァンに見せたら才能の無駄遣いだと大笑いされてしまった。断じて無駄では無いと言いたい。

 ちなみにオフィーリアはこれも商品化したいらしい。

 

 午後になると、みんな家に集まってきた。それぞれ肉や野菜などを持ってきてくれてホクホクである。

 みんなでバーベキュー台を設置して準備していると、予想外の客がやってきた。

「あれ?お父さん!?」

「お父様……」

 僕の父さんがルシアとウィレミナの父をつれて来たのである。そういえば三人は職場が同じ王城だ。

「せっかくの昇格祝いだから誘ってみたんだが大丈夫だったか?」

 三人は高級なお肉を買ってきてくれていた。大歓迎だ。ルシアは嬉しそうで、ウィレミナはオロオロしている。ウィレミナの足元でミミが一緒にオロオロしていて可愛い。

 そういえば、ウィレミナは魔力暴走事件以来、母親以外の家族と疎遠になっていたんだっけ。父親ともほとんど話さないと言っていた。

 そしてアイヴァンは憧れの英雄の突然の登場に、借りてきた猫のようになっている。実に面白い。

 

 それぞれが自己紹介をすると、バーベキュー台の火入れを手伝ってくれた。家のバーベキュー台は僕の欲望のままに作ってもらったので巨大だ。それが二台ある。火を入れるのは大変だった。

 ファミリアたちは早くお肉が食べたいのかソワソワと僕らの周りを回っている。

 

 そうしていると、グローリアのメンバーもやってきた。もちろんお酒持参で。彼らは父さん達に驚いていたが、顔見知りの者も居たらしくすぐに打ち解けていた。

 そして、肉を焼く準備が整った。母さんがみんなに飲み物を配る。

「では、インフィニティのBランク昇格を祝って、乾杯!」

 みんなで乾杯すると早速肉を焼き始める。僕の作った肉切りの魔法具が大活躍だった。ウィレミナの父さんに魔法具の出来を褒められた。やったね。

「あ、タレは三種類作りました!塩ダレとスタンダードとレモンダレです!」

 そう叫ぶと何故か歓声が巻き起こる。

 僕は次々肉を焼いた。ウィレミナがミミのために野菜を焼いていて、ミミが頬をいっぱいにして食べていた。

 ファミリア用にレアステーキを大量に焼いていると、待ちきれないキャロットにのしかかられる。危ないからやめなさい。ルークは僕の足元を何往復もしていた。

 ティアとベアトリスのスライム組は内臓系がお気に入りらしく、オフィーリアにねだっていた。

 二首鴉のクロは両方の首が喧嘩していた。

 シュガーは早く私の分を焼きなさいと僕の頬をペチペチする。

 みんな大忙しである。

 

 

 

 ひとしきり食べて落ち着くと、アイヴァンはルシアのお父さんの所に行って楽しそうに話をしていた。

 ウィレミナは自身の父親におっかなびっくり話しかけていた。ウィレミナのお父さんは寡黙そうな人だから、どこかで誤解があったのかもしれない。疎まれているとウィレミナは感じていたようだったけど、そんな気配は感じない。むしろウィレミナを気遣っている印象だったので、心配していたのかもしれない。

 今後関係が改善されればいいと思う。

 

 他の大人組はお酒が入ってなにやら盛り上がっているらしく、楽しそうだ。

 僕は締めの料理の制作に取り掛かった。

 余った野菜とお肉を切って、鉄板の上で炒める。そしてそこに麺を投入する。高火力の炭火で手早く炒めると、味付けする。そう、塩焼きそばである。

「待ってました!」

 バーベキュー慣れしているアイヴァンが即座にお皿を持ってくる。

 この焼きそばはアイヴァンの大好物だ。毎回締めに食べたがる。

「見たことの無い料理だが、大したものだな。私ももらおう」

 ウィレミナのお父さんが興味深そうに言う。僕のオリジナル料理ということにしておいて下さい。

「あーもっとお腹空かせておくんだった!」

 そう言ったルシアの横でウィレミナとオフィーリアも頷いている。

 そして焼きそばを食べたグローリアの面々は酔っぱらいのテンションで僕に嫁に来いと言い出した。鬱陶しい事この上ない。

 

 締めを作った後は僕らもお酒を楽しんだ。お酒を注がれすぎて明日は確実に二日酔いで動けないだろう。

 楽しい昇級祝いだった。

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