第6話 お試しパーティー結成
今日もアイヴァンと一緒に依頼をこなす。もうすぐCランクに上がることが出来る。僕達は連日頑張って土鼠を狩っていた。今ではその合間に別の依頼を受ける余裕すらある。アイヴァンとルークの連携も様になってきた。
「今日でCランクに上がれそうだな」
アイヴァンの言葉にシュガーを撫でながら考える。
「そろそろパーティーメンバーを募集した方がいいかな?二人でやるのも楽しいけどさ」
アイヴァンはルークを見て少し考える。
「最終的にSランクを目指すなら仲間も必要だよな」
今この国に居て冒険者を続けているSランクのパーティーは六人組だ。過去のSランク冒険者をみてもだいたい五、六人のパーティーばかりだ。
Sランクは成体のドラゴンを倒せるくらいの強さだからな。流石に二人は無いだろう。
「いい仲間が見つかるといいんだけどな」
二人で冒険者ギルドに戻ると、シンディーさんに相談する。
そうしたら丁度いい子達が居ると言われた。まだ戻ってきていないらしく、少し冒険者ギルドで待つことになった。応接室でお茶を飲みながら待っていると、三人の女の子を連れたシンディーさんが入ってきた。
「この子達、ちょうどパーティーメンバーを探していたところなの。レインくん達と同じでSランクを目指しててね。でも女の子だけじゃ危ないでしょ。レインくんとアイヴァンくんなら信用できるし、どうかと思って」
そう言って女の子達を紹介してくれる。
「リーダーのルシア・クラウザーです。精霊様の召喚者に会えるなんて光栄です!」
長い金髪を片側で三つ編みにした女の子が直角に頭を下げた。なんだか緊張しているようだ。
「ごめんなさい、この子精霊様に凄く憧れてて、私はオフィーリアです」
桃色の髪を肩口で切りそろえた女の子がおっとりと笑って言った。
「ウィレミナ・ダウソンです。よろしくお願いします」
黄緑色のフワフワした髪の女の子が二人の一歩後ろから挨拶してきた。
なんだか面白い組み合わせだな。
名前的に貴族子女が二人に平民が一人。ダウソンって侯爵家じゃなかったか?それにクラウザーって……
「クラウザーってあのレイモンド・クラウザーの!?」
「父を知っているのか!」
アイヴァンは知らないわけないと話し出す。
レイモンド・クラウザーは元Sランク冒険者で、はぐれドラゴンを討伐した英雄だ。英雄好きのアイヴァン曰く、今はその功績で一代限りの男爵位を授かっているはずだ。
ルシアとアイヴァンは早速意気投合したようだ。コミュ力高いな。
「はじめまして、レインです。こっちはアイヴァン・ユーイング、すみません挨拶もまだなのに話し込んじゃって」
僕は一番話しやすそうなオフィーリアに話しかけた。
「いえいえ、うちのリーダーもこうですから。どうでしょう。お互いパーティーメンバーを探しているみたいですし、お試しで組んでみませんか?」
オフィーリアの斜め後ろでウィレミナも頷いている。人見知りなのかな?
僕としては感じが悪くなさそうだし異論は無い。僕はルシアと英雄トークで盛り上がっているアイヴァンの裾を引いた。
「試しで組んでみないかって、どうだ?」
アイヴァンも賛成なようなので、早速明日にでも一緒に依頼を受けることになった。
あ、忘れてた。
「紹介が遅くなってすみません。この子はシュガー、僕のファミリアです」
シュガーは僕の肩で胸を張っている。なんだか偉そうだ。
「この子が精霊様……!」
ルシアが感動したように口元を抑えている。精霊信仰が強いのかな。元冒険者の父親を持っているなら、精霊に助けられたことでもあるのかもしれない。たまにそういう不思議なことが起こるんだ。
「こっちは俺の相棒のルークだよ、シャドウウルフな」
アイヴァンが言うとルークは一声鳴いた。
「私のファミリアは珍しいんだが雪豹だ、名前はキャロット」
なるほどルシアのファミリアは人参色の瞳をしていた。真っ白い豹でとても綺麗だ。
「この子は私のファミリアのティア。ヒールスライムです」
オフィーリアのファミリアは薄ピンク色のヒールスライムだった。割とよく見られるファミリアだ。
「この子はミミ、羽うさぎです……」
ウィレミナのファミリアは薄茶色の、魔物の中でも最弱と言われる羽うさぎだった。羽はあるが、ゆっくりとした低空飛行しか出来ない魔物で、小さな鎌鼬程度の風魔法を使える。好物の実を食べる為だけに飛べるように進化した言われているウサギだ。ひたすらに可愛いのでペットとしてはとても人気である。
ミミは気合十分と言った感じで手を挙げて挨拶してくれる。可愛い。
全員の紹介が済んだところで明日の打ち合わせをした。シンディーさんがこのままパーティーを組めるといいわねと笑っている。
うん、感じは悪くないし、あとは実力だな。明日が楽しみだ。
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