第7話 学力

 領主様の家に着いた翌日、僕は早速花壇に薬草を植えていた。

 沢山回復薬を作って領主様に恩返しをしなくてはいけない。薬作りを手伝ってくれるアオも張り切っている。

 

 僕が花壇に薬草を植え終わって休憩していると、領主様がやって来た。小屋の中の椅子に座り、領主様と話をする。

「ちょっとこれを解いてみてくれるかな?」


 差し出されたのは問題用紙だった。僕は疑問に思いながらも言われるがまま問題を解いた。みんなおばあちゃんに習ったことばかりだ。数学は前の自分のおかげか問題を解くのがとても早くなった気がする。九九というのは凄く便利だ。

 

 全ての問題を解き終わって領主様に差し出すと、領主様はすごいなと言って僕の頭を撫でてくれた。

「やっぱりエリスくんは賢いな、来年から学園に通わないかい?」

 学園と聞いて僕は興奮した。しかし、来年からでいいのだろうか。


「でも学園は十歳くらいから通うものだと聞きました」

「エリスくんなら勉強についていけるから大丈夫だ。賢いから通うなら早い方がいいだろう」

 僕は嬉しかった。褒められた事もだけど、なにより学園に通えることが。念願の友達が出来るかもしれない。

 そうと決まれば学費を稼がなくては。僕はやる気に満ちていた。


「学園はパーシーさんが通っている所ですか?」

 このあたりに学園がいくつあるのか知らないので、聞いてみる。

「そうだな、あの学園がこの辺りでは一番入学が難しい学園だ。エリスくんの成績なら問題ないだろう」

 僕は驚いた。そんなに僕は勉強ができたのか。教えてくれたおばあちゃんに感謝しないと。

「冬には入学試験があるから、気になったことはパーシーに聞くといい」

 後でパーシーさんに学園のことを詳しく聞いてみよう。僕は来年が楽しみになった。

 

「あ!アオとシロは一緒に通えますか?」

 突然大きな声を出した僕に、領主様は笑う。

「大丈夫だよ、テイマーは結構いるからね。二匹とも大きくないから一緒に通っても問題ない」

 僕は安心した。一緒に通えると聞いてシロが勉強するぞと意気込んでいる。アオは勉強する気はないらしい。それより冒険がしたいんだろう。

 入学試験の手続きは領主様がしてくれるそうで、僕は冬まで勉強の復習を頑張ろうと思った。

 

 

 

 領主様が行ってしまったので、僕は回復薬を沢山作る。これからは作った回復薬はパスカルさんのお店に直接納品に行く事になる。

 学費の為にと頑張っていたら、ちょっと作りすぎたかもしれない。

『疲れたの……搾り取られたの……』

 アオが体液を出しすぎてしおしおになっている。僕は慌てて水と食事を用意してあげた。

 

 

 

 パスカルさんのお店に行くため外に出る。一人での街歩きは初めてだ。アオとシロが楽しそうにしている。

 地図を見ながらパスカルさんのお店まで行く。

 その途中でキョロキョロと街の様子を見てしまう。帰りに色々お店を見て回ろう。

 

 パスカルさんのお店に行くと、パスカルさんが頭を撫でてくれた。

「一人で来られたのか、偉いな」

 僕は作った回復薬を納品する。

「ちょっと作りすぎちゃったんですけど大丈夫ですか?」

 パスカルさんは数を見て驚いたようだった。

「すぐ売れるからありがたいよ。でもよくこんなに作ったな、無理してないか?」

 僕は大丈夫だと笑った。

『無理をしたのはわたしの方なの』

 アオがシロの上で主張する。帰りに好きなものを買ってあげようと思った。

 

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