第8話 魔法学校について
街を歩いてアオが欲しがったものを買ってやる。アオは人間の料理が痛く気に入ったようで、屋台で色々買うことになった。
アオは回復薬制作の功労者だから、稼いだお金はアオにも還元されないと可哀想だ。
そういえばシロに装飾品を買ってあげなければいけないんだった。慌ててテイマー向けのショップを探す。
テイマーギルドの近くにお店を見つけて入ってみた。
店内には色々な従魔用のアクセサリーや防具が並んでいた。
『すごい沢山あるね』
シロが店内を見回しながら自分に合いそうなものを探している。
ウルフ系を従魔にしている人は多いはずだから、きっと合うものが見つかるだろう。
店内を隈なく探すと、面白いものがあった。
スライム用のカチューシャだ。魔法でスライムの頭に吸着するようになっているらしい。アオは黒いリボンに白いレースがあしらわれた物を欲しがった。
『可愛いの!どう似合ってる?』
試着してみるとなかなか可愛い。少し値が張るが買ってあげる事にした。
シロは黒に銀糸で刺繍が入った格好良いスカーフを欲しがった。
首に巻くと、真っ白なシロに良く似合っている。
僕たちは二つを購入して屋敷に帰った。
屋敷に着くと奥様に心配されていた。
一人で街を歩くのが初めてだから、ちゃんと帰ってこられるか不安だったようだ。
奥様と一緒にお茶を飲みながら今日の出来事を話す。
アオはカチューシャを自慢していた。奥様もそんな物があるとは知らなかったらしく驚いている。
「そうだ、エリスくんの採寸をさせてもらってもいいかしら。私のジョブは『針子』なの。服を作らせてほしいのよ」
奥様は楽しそうに言った。
「僕は嬉しいですけど大変じゃないですか?」
「全然、趣味だもの。パーシーの服もよく作るのよ」
本当に楽しそうに言うので、僕も服を作ってもらうことにした。
何だかこそばゆい様な気持ちになりながら、採寸してもらう。
出来上がるのが楽しみだ。
採寸が終わると、パーシーさんが学園から帰ってきた。僕を見ると笑って頭を撫でてくれる。
「そういえば、今年学園を受験するんだっけ?色々教えてやれって父さんに頼まれたんだ」
「そうなんです。学園のこと教えてくれませんか」
聞くところによると、僕が通う予定の学園はマルダー魔法学園というらしい。
そこは一定以上の勉学が身についている人しか入れない、魔法中心の授業をする学園なんだそうだ。
そこの卒業生ならどの職場でも欲しがると言われるほどの、この国屈指の名門校だという。
そんなすごい学園でやっていけるんだろうか。僕はかなり不安になった。
「大丈夫だよ、エリスくんの解いたテストを見たけど、あれなら絶対合格できるよ。あとは魔法かな。エリスくんは大魔女様に魔法を教わったんだろう?なら問題ないはずだ」
そうだ、おばあちゃんは僕がどんな道でも選べるように教育すると言っていた。特に魔法には厳しかった。魔法が使えれば大抵の職場で重用されると、できるまで何度も教えてくれた。
おばあちゃんが教えてくれたんだ。僕は自信を持って生きなくちゃならない。絶対合格しよう。
「学園は楽しいよ。校外実習なんかもあってね、実際に魔物を討伐するし……後はやっぱりクラス対抗戦かな?あれが一番盛り上がるね」
聞くところによると魔法学校は本人の素質ごとに四つのクラスに分けられるらしい。イエロー、レッド、ホワイト、ブラックそれぞれのクラスが一年生から六年生まで一緒になって戦うそうだ。
すごく面白そうでワクワクする。
「俺はホワイトクラスだけど、エリスくんは何になるかな?レッドは無いな、イエローかホワイトな気がするよ」
素質で分けられているのでクラスごとに性格が偏るらしい。
どんな感じなのか聞いてみた。
「言われるのはイエローは理知的、レッドは活動的、ホワイトは能動的、ブラックは個性的かな。エリスくんは確実にレッド以外だと思うよ。レッドは本当に暑苦しいから」
確かに自分でもレッドは無いなと思う。どのクラスになるのか楽しみだな。
「僕は今年で卒業だから、一緒に通えなくて残念だよ。対抗戦は見に行くからね」
パーシーさんはまだ合格もしていないのにそう約束してくれた。
絶対合格できるように頑張ろう。
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