第3話
「夢……あ、だからドリームマッチって名前なのか」
『またまた大正解ばくー。ばっくんポイント……は機能として実装されてないから後でご主人様に提案してみるばく』
「ご主人様? このアプリの運営元って事か?」
『そんなとこばく。さあ、まずはこのドリームマッチを始めるばく。タイムイズマネー、時は金なりばくよー』
「わ、わかったって……」
ばっくんに促されて海はドリームマッチのアプリをタップする。すると、画面は無機質な白い物に変わり、やがて多くの項目が現れた。
「これは?」
『このドリームマッチで自分と相手が見る事が出来るパーソナルデータの入力画面ばく。別に嘘をつく事は出来るけど、嘘をついたら後が怖いばくよ?』
「もしその相手と現実で会った時にバレたらって事か」
『その通りばく。嘘つきは泥棒の始まりとはよく言うばくけど、今回に関しては恋泥棒になるばくね』
「まあ嘘をついてもしょうがないし、とりあえず一つずつ入力していくか」
海は画面を見つめながら一つ一つ項目を入力していたが、ある項目へ差し掛かった時にその手は止まった。
「ん……この項目ってなんだ?」
『どれどれ……ああ、欲しい能力の項目ばくね』
「能力っているのか? まあ貰えるなら貰っておくけどさ」
『これはドリームマッチ内で使える能力についての項目ばく。夢の中だから好きに決めてくれても良いけど、あまり考えなしだとたぶんあとで後悔するばく。だから、ちゃんと考えて入力した方がいいばくよ』
「はいはい」
海は返事をした後、その項目を入力し、その後も入力を続けた。そして最後の項目の入力が終わると、海は体を上に伸ばした。
「んー……終わったぁ。思ったよりも数あって疲れたな……」
『お疲れ様ばく。まあでも、一般的なマッチングアプリだってきっとそんなもんばく。どうせ誰かと付き合いを持つなら自分の理想に近い方が良いばくもんね』
「それはそうだろうけどな。んで? この後はどうすれば良いんだ?」
『後は下の開始するをタップして、そのまま眠るだけばく。寝ている間にドリームマッチに誘う音楽が流れるから、それを聞いてる内に眠くなって、気付いたら夢の中ばくよー』
「わかった。まあそれがなくても今日も仕事で疲れてるからぐっすり眠れそうだけどな」
『それは良い事ばく。それじゃあおやすみばくー』
「ああ、おやすみ」
海は携帯電話を枕元に置くと、そのままベッドの中に入り、静かに目を閉じた。そして穏やかな旋律が聞こえる中で小さく欠伸を漏らすと、そのまま静かに寝息を立てはじめた。
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