第2話 まだ道は途切れてはいない

衰弱死はそんなに簡単ではなくて私は失敗した。

喉が乾けば水を飲んでしまうしこっそり何かを食べてしまう。

祖父母を使い私をおびき出しては暴行し、荷造り紐で首を絞める。

死なない程度にさ首を絞めて全部あんたがやったことにしようと思ってトモコはそう言った。

祖父母の家の中はめちゃくちゃに荒らされ、食費をネタに脅された祖父母は毎日一日中ドアを叩き続けるし私の名前を挙げてとても大きな声で怒鳴る。

近隣の家でゴミがばらまいて、祖父母の家でドアを叩き続けているのは居座った頭のおかしいひきこもりであるとトモコが近所に頭を下げて回る、ニートの母親も頭がおかしいんですとも付け加える。

私の母は自殺未遂をして精神病院に入院するようになった。

電気ガス水道料金と事情を知っている近隣住民が支えてくれた食費で祖父母と私は何とか生き延びていた。


祖父母の家に来るトモコは言った考えてみろお前普通の職業で三億円貯まるか?お前。

ずっとこの家はそうなんだ!ずーっと!!お前!!!そういいながら荷造り紐で首を絞める。

そんな日々がずっと続いた。


私と祖父母が衰弱し近隣住民も寝静まったある晩トモコに通帳を奪われた。

トモコは電気ガス水道料金を払わず私と祖父母を衰弱させてから老人ホームに押し込んだ。

金と物と実家を奪い取り、私はトモコの暴行から逃れるために部屋に引きこもる。

日中は近隣の誰かが見ているのでトモコは夜中しか来ないと気が付き私が早朝部屋の外へ出ると祖父母の家が水浸しになっていた。

ぐちょぐちょとなる足元から気をそらして、防災用具を漁ってわずかな水と食料だけを得て部屋に戻る。


部屋の扉がトモコに叩かれる、部屋の壁に空いた穴からトモコが覗いている。

私はその穴からは見えない位置に潜んで息を殺す。

何日かそんな日々が過ぎて私は履けそうな靴を確認した。

裸足で外出して帰るとトモコがいて頭を重点的に叩き付けられたが無抵抗で脱力したおかげか運良く生きていた。


生きている、まだ道は途切れてはいない。

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