第3話 進路
私達には未来があった。
Sは憧れの東京、私は地元の大学へ。
都会に出るのは田舎のティーンからしたら雑誌やドラマの世界に飛び込むみたいで格好いいし、彼女らしいと思った。
対する私は、実家ぐらしで地方で一番の国立大学に行けるなんて平凡だけど恵まれているし、なにより性に合っている。
別に辛いわけじゃないし、相当幸せだと思う。
だけどどこか窮屈だ。
幼い自分に同世代の子と思い切り遊んで喧嘩して絶交或いは仲直りしたりする。
放課後は教室を施錠されるまでドッジボールや野球をして遊ぶ。
学校を出て制服のまま、カラオケやショッピングモールに寄っちゃったりして。
文化祭前の打ち合わせやテスト勉強をミスドでしてみたり。
そんな学生生活のささやかな幸せを捧げて、代わりに未来を手に入れた。
あったかもしれない未来ならいくらでも思いつくけれど、もし違う選択をしていたらこの未来もなかった。
今ではそう思っている。
でもたった1つだけ、消えない後悔がある。
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