5話 検証の結果……
朝食を終えたヴィンスは、早速資料とのにらめっこを始めた。
王都から運んできた資料を取り出し、アイゼンハウアーが訪れたであろう日を探す。
その日に行われた、職員の入力資料を確認。
あった。
住民番号の有無……問題なし。
有効な身分証明書の提出……問題なし。
筆跡……問題なし。
一つ一つの項目を、多種多様な資料と照らし合わせて確認していく。
だが――全てに問題がない。
完璧な通行申請書だ。
当然、この展開をヴィンスは予想していなかったわけではない。
相手を本気で欺こうとするならば、筆跡、身分証明、住民番号の偽装くらい本気でやるだろう。
だが、絶対に欺けない部分が一つある。
そして、その鑑定結果がそろそろ到着するはず――
「ヴィンス殿」
一人の兵士がヴィンスに近づいてきた。
「王都からの早馬です。これをと」
差し出された手紙をヴィンスは受け取る。
封筒には王都技術局の印がされていた。
ヴィンスが技術局に依頼したのは、アイゼンハウアーが使っていた印章の鑑定だ。
印章は登録制であり、変える場合も王都に届け出を出さなければならない決まりだ。
全く違う印章を使っていれば、即偽造確定。
アイゼンハウアーの書類は全てが瓦解する。
ヴィンスはゆっくりと封筒を開け、中に入っていた紙を広げる。
検証結果――
一致――
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