第五話 美少女式神「ルー」との一夜
「災難だったな」
「良く気づきましたね、」
警備員が男を確保し、俺たちは一息ついてベンチに腰を掛けていた。
「さっきの男が店の中でも監視していたからな。
一様後を付けていた」
「そうなんですね」
「俺が出る幕じゃなかったか?」
「いえいえ!助かりました」
福原は大きく手を振って頭を下げる。
「でも…不思議です」
「何がだ?」
「石神さん、ワールド使いましたよね。
それもワールドの押し合いにも勝っていました。
ホワイトランクの人がワールドを使えるなんて不思議です」
「俺もホワイトランクに位置付けられた理由はわからない」
「そうですよね。
今日はありがとうございました。
遅いので帰りましょうか」
「そうだな」
まずいな…
ルーが怒ってないといいけど、、
少し胸騒ぎがしながらも俺達二人は軽く談笑しながら寮へと帰った。
「遅い!!!!
一体今までどこにおったんじゃ!!」
「お、おい」
顔を真っ赤にしたルーが顔に飛びつく。
ルーは石神の耳元で叫び、耳をキーンと音を立てる。
「悪かったよ。
色々あったんだ」
「理由などどうでも良い!
腹が空いた!
早く飯にしろ!!」
「はいはい」
「はいは一回じゃ!!!!」
「ごちそうさまでした」
「何じゃそれは」
俺が手を叩いてそう言うと、ルーは馬鹿にした顔でこちらを笑う。
「食事マナーだ」
「食事にマナー?
何を言っとる」
「食べ物に感謝するために言ってるんだ。
いただきますもな」
「バカバカしい」
ルーは大きく笑い、手を合わせることなくソファーへと寝転ぶ。
こいつが家に滞在するお陰でソファーでくつろぐ事も出来ない。
「俺も手伝うよ」
「ありがとうございます」
食器洗いをしているAIロボットの横に立って俺も洗い物を済ませる。
「ほんと哀れじゃのう。
AIロボットに任せればいいものを」
「お前も手伝えよ」
「嫌じゃ」
「私は構いませんよ」
「そういう訳にはな…」
良く出来たAIだとしみじみ感じる。
至って式神は役の一つにも立たない。
まぁ明日からの錬金術に期待するとしよう。
「ルー、寝床は俺のベットだが良いか?」
「は、は!!?」
俺はベットを指さす。
ルーは立ち上がると俺の指さす方向へ目を向け叫ぶ。
「ななな、何で貴様なんかと一緒に寝ないとあかんのじゃ!!」
「いや、だったら俺の中に入ってくれないか?」
「それはもっと嫌じゃ!!」
「しかしだな…」
ソファーで寝させるわけにも行かない。
ルーの分の寝床を買うにはポイントも心配だ。
ここは我慢してもらうしかない。
「どうしても…なのか?」
「まぁ、そういうことになる」
ルーは俺から顔を背ける。
そんなに嫌なものか?
一様主人なんだが…
「し、仕方ないじゃろう。
特別、特別じゃぞ!」
「助かるよ」
ルーはトコトコとベットに歩いていき、ちょこんとベットの上に正座する。
「恥ずかしいのか?」
「は、恥ずかしいわけあるか!
わしが貴様なんかに意識するわけないじゃろ!」
ルーは顔を俯かせており、顔はもちろん耳まで真っ赤に染まっている。
「嫌なら俺がソファーで…」
「いい!別に大丈夫じゃ!!
それより早く寝るんじゃ!」
ルーは布団の中に入り込み顔を隠す。
歯磨きやトイレも済ませた俺もルーと同じベットに入り込む。
「大丈夫か?」
「うるさい!
今寝とるから黙れ!!」
「そうか、おやすみ」
「……お、おやすみ、、」
そういえば…
俺はこれまでの日々を思い出す。
誰かと一緒に寝たことなんてなかった。
それも誰かと暮らすなんて一生ない事だと思っていた。
想定外の式神だが、それでも良い。
心が温まる気持ちに心臓が高鳴ると共に、俺は睡魔に襲われる。
「ね、寝たかのぅ?」
ベットに入って一時間。
恥ずかしくて一歩も動けなかった身体を横にずらし、石神を確認する。
「ふん、マヌケに寝ておる」
そうルーは言いつつも笑みを浮かべて頬に手を触れる。
「ふん、仕方ないから明日は優しく錬金術を教えてやるとするか」
ルーは石神の頬のキスをする。
最弱の烙印を押された主人公は天才達が集う学園で無双します。 パンパース @kiriyasi
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