第三話 式神は銀髪美少女

明日からは通常授業が始まる。

水を一杯口に含み、ソファーに腰を掛ける。


「ルー、少し話をしたいんだが」


「ふん!わしの名前を気安く呼ぶな!」


色白の細い足を大っぴらに開きながらせんべいをバリバリ音を鳴らす。


「まさか貴様の様なひ弱な男と契約させられるとはな!」


「悪かったな、ひ弱で」


「全くじゃ!」


机に腰かけ腕を組む巫女の姿をした銀髪の美少女。

こいつが俺の式神だ、そうだ。


「貴様の言う事など聞くことは無い!

 わしに期待するでないぞ?」


「いや…そういう訳には、、」


式神と契約する一番の有効点は強力な能力の恩恵を得ること。

そして実質奴隷の様に式神をこき使える点である。

普通式神は主に従順しているんだが、、


「何故わしが貴様に従順でないか不思議か?

 それはわしが優秀で強すぎるからなんじゃ!!」


わっはっはと大きく下品に笑うが、笑い事ではない。

俺が式神を評価しているのは受けられる恩恵ではなく、従順な点だった。


「なるほど、俺とお前で能力値に差がありすぎるからか」


「そう言うことじゃ!

 ま、不思議なのは貴様の情報がわしに流れん事じゃな。

 普通式神は契約後に主の情報を得ることが出来るはずなんじゃが…

 まぁ貴様が雑魚すぎるってことじゃな!」


そう元気よく言われても困る。


「ステータスオープン」


俺は自分のステータスを開き、付与された能力を確認する。


「へぇ、”錬金術”…

 ルーは錬金術師なのか?」


「まぁな。

 と言っても錬金術師だけではない。

 戦闘面でもわしは優秀じゃ」


と鼻高々に言われてもそれ以上に能力を受けることは出来ていない。

しかしこれは予想外の収穫。

まさか錬金術の能力を得ることが出来るとは…大きい。


「なんだ、ショックを受けておるのか?

 戦闘系の能力を受け取れんのは貴様の運じゃろうな」


「いや、俺は満足している。

 それとも錬金術は外れ枠なのか?」


「何を言っとる?

 錬金術を扱える者は世界でわしを含めて10もおらん。

 外れ枠なわけがなかろう。

 ただ、貴様ら才能の無い者にとっては外れ枠かもしれんな。

 錬金術は使用者の才能が如実に影響する。

 努力じゃ補えない部分が大きすぎるからな」


なるほど、

そこに関しては運しだいだが…

まぁ何とかなるだろう。

才能には自信がある。


「貴様に錬金術の手解きをしてやらん事もないぞ?」


「良いのか?」


「ただし…」


ルーはそう言って机から飛び出し顔を突き出す。


「わしをずっと解放するなら教えてやろう!」


「……」


式神は自分の身体の中に入れたり外に出したりすることが出来る。

普通、式神は外に出すデメリットは魔力を消費するという点。

メリットは好きな時に式神を呼び出すことが出来る。

つまり式神を出しっぱなしにしていたら式神に頼れないケースが発生する。

ただ、それを見越しても…


「わかった、俺に錬金術を教えてくれ」


「ふん、ぶっきら棒じゃが良いじゃろう。

 明日からな」


「いや、今から教えてほしいんだが…」


「道具も揃っとらんだろ。

 買い出しに行ってきたらどうだ」


そう言ってルーはソファーに寝ころびケツを掻く。

そのだらしない格好に少し不安がよぎるが、言われるままに携帯で必要素材を確認し、買い出しへと向かった。

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