7話 捻くれた戦略

「工藤くん!?なんでっ」

「おっす佐藤さん」


目の前に工藤君がいる

まるで世間話でもするかのような顔をしてる

でもなんで?どうしてここに?

ここは昼休みとはいえ校舎の端っこの階段。

通りかかることなんてないはずなのに



「なんだテメェ、なんのようだ?」

「要も何も、そんだけ叫んで、

 相手の女子も震え上がってるんですよ?

 そりゃ何かあったのかと思いますよ。」


相手の人が舞から離れ、工藤君のほうに

近づいていく。少し笑いながら

工藤君を煽り始める


「で?それでこいつら助けるってか。

 おいおい冗談キチィなぁ。

 お前が勝てるとでも?

 こっちは二人だぜ?どうやったってむ」

「無理じゃないですね

 たかがチンピラなんて一人も二人も

 変わんないっすよ」


ニヤついた表情からすんと表情が消える


「・・・おい、状況わかってんのか?」

「大体は。ここは校舎の西側の階段で、

 人が通ることはほとんどない。

 そんな場所で男二人が女子に殴り掛かる

 ところに声をかけたとしか。」

「てめぇ、ふざけんなッ

 そういうことじゃねぇぞ!」

「煽ってんのかお前。そろそろ本気で殴るぞ

 痛い目見たくないんならさっさと」

「煽ってるに決まってるでしょ」


工藤君はまだ先輩達を煽ってる・・

どうしてっ

なんでそんな危ない真似を?

これじゃあほんとに殴り合いに・・


「もういいわお前。殺す」

「お好きにどうぞ。

 できるもんならね?」


だめッ

工藤くんが!


「あんた何考えてんの!?」

「何って工藤くんがっ」

「だからってなんもできないでしょっ」


舞から腕を掴まれる

でも、でもでもでも!

ここでいかなきゃ工藤くんはッ


「歯ぁくいしばれやガキがぁ!」


工藤くんッッ



「何をやってるんだ!そこの二人!」

「っっは?」


工藤くんがなぐられそうになった直前

廊下の方から担任の中瀬先生が走ってきていた




















よかった

どうやら中瀬先生はうまく意図を

読み取ってくれたようだ


「新田!西木!下級生になにしてる!」

「チッ、中瀬かよ。面倒な奴が来やがった」

「興醒めだわ、おいお前」


銀髪のチンピラはこちらに向かって

派手な装飾品を揺らしながら

荒々しく言う


「覚えてろよ、次はこうはいかねえぞ

 徹底的にやる。土下座しても許さねえ」

「もともと土下座するつもりないんで。」


そういってチンピラ二人は走って階段を降りていった。走ってきた中瀬先生が

合流する。どうやら見回りの途中だったようだ。


「大丈夫か工藤?怪我はないか?」

「俺は大丈夫です。そっちの二人も

 多分、怪我してないと思います」


舞と呼ばれていた女子の方をみて、怪我がないことに安堵する中瀬先生。

安堵のため息をつき一安心する

流石にあの二人も教師がくれば身を引くか。

怪我がなくて何よりだ。


「電話の意図は伝わりました?」

「あぁ。よく思いついたな、おかげで大事にならずに済んだよ。工藤のおかげだ」

「電話?どういう・・・」

「これだよ」


聞いてきた舞に俺の携帯の画面をみせる。

画面には履歴として数分前に、

俺が中瀬先生に電話したものが残っていた


「あの二人と話してる内容を、

 通話状態にして中瀬先生に

 伝えてたんだよ。こっちのスマホの音量を

 ゼロにすれば、通話の音も聞こえない。

 先生が気づくかは結構な賭けだったわけだけど」

「工藤の電話に出た時は何が起きているのか

 分からなかったが、工藤が居場所を

 わざとらしく説明した時に察した。

 何より、話してる相手が相手だ。

 嫌でも暴力の気配がして走ってきた。」


俺が居場所をわざとらしく振り返るように

発言し、通話先の先生に場所を伝える。

そして必要以上に煽り立てることで

相手の注意を完全に俺に向かせることで

時間を稼いだ。結果、

相手はこちらの思惑通りに動いてくれたわけだ。


「危なかったろ。いくら私が助けに行く

 とはいえ、あと少し遅かったら殴られた 

 かもしれないんだぞ?」

「もともと一発くらいは覚悟してましたよ

 まぁ、思ったより早くきてくれたので

 結果オーライっすよ」

「まったく無茶がすぎるぞ工藤」


聞けば先ほどの二人は校内でも

悪い方で有名な二人らしい

何かしらの問題を度々起こす

とかいうタチが悪すぎるやつららしい



中瀬先生は散乱している弁当を見た後

舞に話しかける。


「なにがあったんだ?浅野さん。

 すごいことになってるが・・」

「えっと・・・」


舞はある程度かいつまんで経緯を説明する

飯を食べていたところ

急に弁当を蹴られこの有様。

それに対して問い詰めたところ

それを流され、あと少しで

殴られそうなとこまでいったことなど、


「災難だったな、本当に

 だが君達が怪我をしていなくて

 安心した。佐藤も怖かったろ」

「はい・・正直」


佐藤を見ながら安堵した笑顔で

問いかける

そしてこちらに向かって頭を下げてきた


「ありがとう工藤。

 何度も言うが君のおかげだ。」

「そんな大げさな。みんな無事なら

 それで良いですよ」


なによりそこの二人が無傷なのが

1番良い。

俺にも守ることはできたのだ。

理不尽なものから、誰かを。


「私からこのことは先生方にも伝えよう。

 あの二人がまだ何かするかもしれない

 からな。

・・・後片付けもしなくてはな」

「お願いします」


そういって

中瀬先生は戻って行った

底辺と呼ばれる所以のような出来事を

まさか自分が体験するとはな。















新キャラ

浅野舞

1年の総合学科クラスの生徒

由紀とは古い付き合いで幼馴染。

バスケ部に入っており、その実力は

先輩からの折り紙つき

度々由紀の長話に付き合わされる

綺麗な顔立ちをしており、

身長は勇人より少し小さいくらいで

かなり大きい

髪はショート

胸が大きいことがコンプレックスで

男子と話すことが苦手である。













 






 


 

 









 

 

 



 

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