続・ドライブ

 僕たちはなぜ付き合うことになったのか?

 普通に考えるならば、僕が彼女の告白を受け入れたからなのだろう。

 ただ僕は、本当はもっともっと簡単なことなのではないかとも考えていた。

 たとえばそれは、水が高いところから低いところへと流れるように。

 たとえばそれは、磁石のS極とN極とが引かれ合うように。

 そんな物理法則に従って――というと、やはりそれはそれで少し違うのかもしれない。

 僕たちが惹かれ合ったのはさらに単純で、もともとそうなる運命だったからなのではないだろうか。


 車窓を流れてゆくのは住み慣れた町の景色。

 それはいつまでも何も変わらず、そこに住む人たちの平和な暮らしと時間とを内包しつつ存在していた。

 低排気量の内燃機関車ばかりを乗り継いできた僕にとって、高級EVの静かさとスムーズさは電車に乗っているような味気の無さがあった。

 ただ、今日のような真っ青に澄み渡った秋晴れの空の下を走る分には、3気筒や4気筒のけたたましいエンジン音よりは、分厚いガラス越しに聞こえる僅かなロードノイズが合っているようにも感じる。


 やがて車は市街地の外れにある道路に至ると、非常に思い出深い建物の前をゆっくりと通り過ぎた。

「あ、流風ちゃん。むかしあそこにあった雑貨屋って覚えてる?」

 今はコインランドリーが入っている様子の貸しテナントは、僕たちが付き合い始めて最初に行ったデート先であり、初めてのプレゼントを購入した場所でもあった。

 その時に贈ったものはといえば、確か――。

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