第5話:驚天動地
一方、桜の愛を受け入れた真理愛は彼女がすぐにでも自分を求めてくると思っていたのだが、その予想は外れた。
桜は桜で静香に屈してしまった事を恥じて真理愛に合わせる顔が無いと落ち込んでいたのだが、静香が真理愛に手を出すのではないかという不安に勝てず、結局落ち込みながらも真理愛にすがることになった。どの道真理愛を見れば欲望は掻き立てられるのだ。
真理愛が綺麗なのが悪い――そう言い聞かせて桜は真理愛を犯すことに決めた。
* * *
「桜――くすぐったいよ」寮の大浴場――二十四時間いつでも入れるそこ――の手前の脱衣所で、山元桜は七瀬真理愛を抱き締めていた。吐息を感じながら桜は真理愛の身体を不躾にさいなむ。彼女達以外の学生はいない。だからこそ抱くなんて大胆なことが出来たのだが、真理愛に拒まれるのではないかと桜は内心ひやひやしていた。
「綺麗」桜は真理愛の碧緑の目を見ながら平気で恥ずかしいセリフを言った。脱衣所の暖気でほんのり赤かった真理愛の顔が耳まで真っ赤に染まる。見事なショートボブの金髪が恥ずかし気に揺れた。肌は雪のように白くハーフである事を意識させられる。
「もう。早く入ろうよ」真理愛は桜を押し戻すと、その手を取って浴室へと向かった。桜は真理愛の華奢な身体が揺れるのを見て、彼女をものにしたいという欲望が湧き上がってくるのを意識した。
手を引かれるままに大浴場に入る。真理愛をめちゃくちゃにしたい。手の先から伝わる快感に桜は心臓を高鳴らせた。入浴する前から考えていた台詞を口にしようとして、更に動悸が高まる。
「真理愛」
「なあに」真理愛が振り返る。スマホを持ってたら動画に収めたのに――そう思うほど美しい動作だった。
「良ければ――真理愛の、か、身体を――」
「身体を?」
「あ、あ、洗わせて……!」思わず手を強く握ってしまう。
「良い……よ」真理愛もその意味を知って再び顔を赤らめた。
二人は肌を上気させながら洗い場に行く。
「す、座って。真理愛」桜は心臓が口から飛び出すのではないかと思うほど興奮していた。
桜は風呂椅子に腰掛けた真理愛の肩口から洗い始める。備え付けのボディソープをタオルに擦り付けて背中を流す。わざと指で真理愛の身体を撫でた。真理愛がピクリと震えるのを見て更に悪戯する。
桜は自分の胸を真理愛の背中に押し付ける。固くなった頂きで背中を嬲った。
「あ……」真理愛は小さく声を上げたが拒まなかった。桜は真理愛に抱きつき、両手で彼女の胸を撫で上げる。
真理愛の控え目で形の良い胸を優しく揉み始める。吐息に欲情の色が混ざり始めるのを聞いて桜は腹部に熱が溜まってくるのを感じた。
こすれてすっかり固くなった両方の胸の尖りで真理愛の背中を優しく蹂躙する。その間にも手は真理愛の胸の尖りを摘まむ。
桜はボディソープのぬめりを使って真理愛の身体を嬲り倒す。
真理愛は必死に抑えようとしていたが、喘ぎ声が漏れ出てしまう。
桜は左手で真理愛の胸を揉みながら、右手を下腹部に伸ばす。真理愛の手が押しとどめるように重ねられるが桜はかえって興奮して増々動きをエスカレートさせる。
更に桜は真理愛の首元に唇を付けた。真理愛は小さく声を上げる。舌を首に這わせ、噛んだ。思いきり吸って愛の印を刻む。
首、耳と舐めた後、真理愛の身体を正面に向かせて唇に口付ける。
真理愛の口内に舌をねじ込む。真理愛も舌を絡みつかせてきた。
〝邪魔が入らない内に、真理愛を――〟いつ何時人が来るか分からない、桜は余裕なく真理愛を攻める。
真理愛の喘ぎ声が段々と甲高くなってくる。桜の手は真理愛の液で濡れる。最後が近いと知って桜はますます興奮する。胸を揉む手と、下半身の女性の部分を弄ぶ手の動きが早くなる。
その時、脱衣所の方から声がした。
「桜――」真理愛が慌てて桜の手を止めようとする。
「絶頂するまで離してあげない」欲情に濡れた瞳で、桜は真理愛を嬲り続ける。すっかり桜は欲望に我を失っていた。
こんないやらしい姿をさらしてしまう――そう思うと真理愛の身体をめまいの様な異様な昂りが駆け巡る。
桜も真理愛も興奮してしまう。
桜は真理愛の秘所を一層情念を込めて、早く彼女を達させてしまおうと指を動かす。
「はっ、あぁっ、ひぅ――んッ」動物の様に喘ぐ真理愛の唇を桜は唇で塞いだ。真理愛は桜にしがみつくとその身体に爪を立てた。
脱衣所からは話し声が聞こえてくる。
〝見られちゃう。こんなところを――〟真理愛はどんどん高まっていく自分を自覚し、その事に更に興奮した。
「んんッ――!!」真理愛は桜の口内に舌を侵入させ必死に抱き締めながら達してしまう。
半ばもうろうとしながら桜にもたれかかる。二人は深い満足感と共にお互いを抱き締め合った。
* * *
「で、のぼせ上がって保健室に担ぎ込まれたと」同室の斎藤梓、桜を狙う中等部生の一人は呆れたように部屋に戻ってきた桜を見た。
「わ、わた、私、梓に犯されちゃう……」
「人聞きの悪いこと言わないでよ」
「ぜ、前、前科があるでしょ……」
「それとこれとは話が別よ」
梓は濡れタオルを絞って桜の額に乗せた。
「全く、どんな色惚けオヤジだってのよ」季節外れの扇風機を引っ張り出して〝強〟の強さの風を当てる。
「だ、だっ、だって、真理愛が可愛いのがいけない……」
「惚気もそれぐらいにしなさい。犯すわよ」
「やっぱり――」桜はあからさまに怯える。
「違うわよ!」梓は溜息をついた。「少し休みなさい――」
しばらく梓は桜のタオルを替えてやっていた。
就寝時間少し前というところで、コンコンとノックが響く。
「はい――」梓がドアを開けると、そこには恋敵がいた。
「桜はいる? 梓さん」七瀬真理愛――思いつめたような、オドオドとした表情だ。
よく見ると、頬が汚れている。
「どうぞ入って。桜、七瀬さんが来たわよ」
真理愛は今にも崩れ落ちそうだ。肩が震えるのを梓は確かに見た。
「あー……。真理愛。どうしたの? 深刻そうな顔して」のぼせていた桜はさすがに真理愛のただならぬ雰囲気に気付いた。
真理愛は深呼吸する。
「桜。ごめんなさい。私――」真理愛は泣き出してしまう。
桜はベッドから飛び起きると真理愛を抱きしめる。
泣き止むまでしばらくそのまま抱き続けた。
「どうしたの? 何かあったの? 真理愛」落ち着くのを待って話しかけた。
真理愛は声を引き攣らせて言葉を押し出す。
その言葉は桜には驚天動地の、とても信じられない言葉だった。
「私と、別れて――」
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