イーソル編
第6話 イソール① 新天地
ー1915年8月31日ー
アルタの戦いから一週間が経過した、俺はなんと一等兵へと昇格した。そして俺たちの中隊はそのまま前進し、次にグレスティア帝国が守るイソールへと向かった。
イソールでは既に戦闘が開始しており、かなりの激戦になっていて、噂ではグレスティア帝国の最新の銃器が猛威を振るっているそうだ。
イソールへと前進していると、空にはライヒ軍の大量の爆撃機や戦闘機が飛んでおり、最後列には超巨大な飛行船が二隻飛んでいた。
俺は飛行船を見たことがなかったからその大きさに驚いた。
近くの兵士によるとあの飛行船は一度に数万トン爆弾を落とせるらしい、そしてあの飛行船たちはこれから俺たちの同盟国であるオルレアン帝国を空襲するそうだ。
「足を止めるな一等兵!昇格したからって少し浮かれてるんじゃないか?」
飛行船に見とれていると軍曹に怒られてしまった。
俺は気を取り直して前進を続け、ついに次なる戦場イソールへと到着した。
相変わらず泥だらけの地面、酷い臭いだが、やっぱり塹壕の中は安心する。
でも明らかに前のところと違うところがあった。
それは全く活気がないところだ。
確かにアルタでも活気はあまりなかったが、ここよりは活気があった気がする。
どうやらここの兵士たちは相当疲弊しているようだな。
まだ飯を食べていなかったから、俺は配給されたパンを取り出し食べ始めた。
お世辞にも美味しいとは言えないが、無いよりはマシだ。
そして俺は他の兵士と飯を食べながら談笑した。すると一人のじいさんが話しかけてきた。
「すまんがワシも入っていいか?ひとりの飯は面白くなくて嫌いなんじゃ。」
すると俺たちは少し困惑しながらも承諾した。
見たところ70代といったところか、右目には大きな傷がついていた。
このじいさんなかなか話が面白く、名前はマルコ・ブロンドーというらしい。
俺たちはこのじいさんをマルコじいさんと呼ぶことにした。
マルコじいさんは本当がどうかわからないが、30年前からこの戦争に参加しているそうだ。なのになぜか上等兵から昇格できないそうだ。
俺はマルコじいさんから30年前の戦争の体験談を聞いた。
当時まだ有刺鉄線や塹壕がなかったため、騎馬突撃が戦争の主流戦術だったそうだ。
今だったら絶対に考えられない、それに火炎放射器がまだ列国法で禁止されておらず、猛威を振るっていたそうだ。
マルコじいさんの話を聞いていると日が暮れていた、俺たちは中隊長から盗んできた酒でバレないように宴をした。
そういえば明日は俺とマルコじいさんで夜番だ。
明日はもっと戦争のことについて教えてもらおう。
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