第4話 アルタ④ 突撃
ー1915年7月15日ー
カミーユたちは兵士の死体を運んでいた。
「おーい、俺も手伝おうか?」
「ああ、頼むよ、まだたくさん死体があるんだ。」
「というか、なんで死体を運ぶんだ?」
「中隊長によると死体から伝染病が広がるんだとよ、めんどくさいけど命のためだ、仕方ないさ。」
カミーユはめんどくさそうに答えた。
そして俺たちは次々と死体を運んでいった。
それから俺たちは砲撃があれば退避壕に逃げ込み、銃声が聞こえれば塹壕から覗く、暇なときは武器の手入れにいそしむ、そんな日々が一ヶ月程続けた。
ここでの生活にも慣れた頃、中隊長は俺たちの前にでてきて、話し始めた。
「我々は明日の早朝に敵塹壕へと突撃をしかけることとなった。」
兵士たちは一気に静まり返った。
「中隊長、それは正気ですか?今どき突撃なんてどこの国もやっていませんよ!」
「仕方ないだろ、上からの命令なのだ!いいな?明日は早いから皆早く寝るように!」
中隊長はそう言うと逃げるように歩いていった。
「逃げ出すか?」
「いや、ダメだ。もし上手く逃げれても、家族に被害が及んでしまう、それだけはごめんだ。」
「とにかく明日は全員生き残ろうな!」
「もちろんだ!!」
そう言うと俺たちは早めに寝た。
ー1915年8月23日ー
早朝に俺たちは起こされ、一人に一つの謎のマスクが渡された。
すると中隊長が現れた。
「貴様らに配布したマスクはガスマスクというそうだ、生き残りたけりゃ全員そのマスクを着けていたほうがいい、全員準備ができたら突撃を開始するぞ。」
俺たちはガスマスクを着け、銃を取り出した、体は少し震えていた。
そんな時また家族のことを思い出した。
兄貴はグレート戦線に従軍していてもう7年は会っていない。
そんな中、
「全員突撃!!」
中隊長がそう叫び俺たちの攻撃は始まった。
俺は塹壕から身を出し、全速力で敵塹壕へと走り始めた。
すると周りの兵士が次々と撃たれていく。
敵の塹壕からは銃弾や砲弾、糞尿までもが飛んできた。
そんな中俺は気にせずに走り続けた。
すると背後から霧が現れた。
走っていると俺は有刺鉄線に足を絡ませてしまった。
「大丈夫か、二等兵!」
軍曹は俺の元に駆けつけ、有刺鉄線を器用に外してくれた。
「あともう少しだ!」
軍曹はそう言って俺を励まし、俺は再び走り始めた。
敵の塹壕はもう目の前になり、俺は思いっきり敵の塹壕へと飛び込んだ。
すると塹壕内の敵は全員泡を吹きながら倒れていた。
一人だけギリギリ正気を保っている屈強な男がおり、俺を見るなり雄叫びを上げながら棍棒で殴りかかってきた。
俺はとっさにFA14ライフルで敵の棍棒を受け止めた。
そして俺は敵を押し倒し、馬乗りになった。
俺は持っていたシャベルで敵の頭を殴り続けた。
敵は訳のわからない言葉を話していたが、俺は容赦なくシャベルで最後の一撃を食らわせ、敵の脳天をかち割った。
俺の手や顔は敵の返り血で真っ赤になっていた。
俺は血で真っ赤になった自分の手を見て、恐怖とともに笑いがこみあげてきた。
そこにカミーユが慌てて来た。
「カミーユ、俺はやったぞ!俺は人を殺したんだぁ!」
カミーユは悲しい顔で俺を見つめた。
「ロアンとフルーリーが死んだ、2人はシェルショックでパニックになってガスマスクを外してしまったんだ、なんであいつらがこんな目に.......。」
カミーユはそう言い残して自分の頭に銃を突きつけて引き金を引いた。
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