「爪、痛い?」
今日も今日とてすっきりとした秋晴れの空だ。
アルをこの手で救い出してから二日後のこと。ローロにとって半年前から続く日常はすっかりいつも通りの形を取り戻している。
メフトは城内で書簡の整理をしていた。彼女は相変わらず細々としたことを、日々を生きるために淡々とこなしている。
ティアレスは塀を直してからというもの、基本的には森の野営地で過ごしている。時たま城にやって来てはローロに森で獲れた肉や山菜をよこすという、彼女なりの日常に戻ったらしい。数日おきに夕食を共に食べにやって来てくれるのがローロには嬉しい。
ローロ・ワンはと言えば、もうすぐ収獲時を迎える野菜達をぼんやりと眺めて過ごしていた。
陽も上りきった昼下がり。仕事と仕事の合間の、ちょっとした休憩の時間。目の前の畑には葉物野菜が大きく実っている。今日の夕食に幾つかの野菜を使えば、きっとメフトはその表情を素敵なものに変えてくれるはずだ──。
「ローロょぉ~! 焼き芋たべよー!」
と。
ローロが今日の献立を考えていると、少し遠くから甲高い声で名を呼ばれた。
見ればそこには七歳年上の幼馴染が……アルが、籠一杯の枯れ葉を抱えて、こちらに駆け寄ってきているではないか。
籠には枯れ葉だけでなく
いけない幼馴染だ。
でも、きっとこれくらいならメフトさまは許してくれると思う。だって焼き芋は甘くて美味しいから。
「いいけど。夕ご飯食べられなくなるよ」
「それはそれ、これはこれ。別腹だよ~」
ばたばたと駆け寄ってきてすぐ隣に腰を下ろしたアルが、その柔らかな栗毛の毛先を躍らせながら枯れ葉の山を地面に盛る。「【えいや】!」と気の抜けた掛け声とともに魔法を使うと、枯れ葉に丁度いい塩梅の炎が着いた。そこにぽいぽいと甘藷を放り込むと、にまにまむふむふと芋が焼き上がるのを楽しそうに待ち始めた。
「あれから二日経ったけど、元気そうでよかった」
「もちろん。わたしは元気なのが取柄だからねー。あそうだ! ローロの怪我、直したげるね」
芋が焼き上がるまでの時間を、アルは思い出したようにローロの手の治療に当てようとしていた。
ローロがメフトから授かった禁術、【
「アルの魔法で治るの?」
「頑張ってみるよ」
アル・ルールは稀代の治癒士だ。非常に特殊な魔法である治癒系魔法において右に出る者はおらず、彼女ほどの治癒士はいないとローロも思っている。そんな彼女に差し出した自身の両手は爪先を包帯で巻いてあった。代償として捨てた箇所の爪はすべて綺麗に剥がれているのだ。剥き出しの肉を曝け出していて良いことは無い。
むむむ、と幼馴染がローロの両手を手に持ちながら奇妙な唸り声を上げている。同時に放出される魔力に包まれながら、ローロはぼんやりとアルの真剣な表情を見ていたが。
「あ、あれ、治んない……」
しばらくすると、アルは困惑しきった声を上げた。包帯で巻かれたローロの指先をそっと、本当に微かな力加減で撫でる。
「その傷、変な魔法によるものだよね? わたしを救うために魔王さまから貰ったっていう、魔法のせいだって聞いたけど……」
「うん。やっぱりアルの魔法でも治らない?」
問いに、アルは悔しげに歯噛みしつつ答える。
「たぶん……なんだけど。治癒系魔法を拒絶するような傷のつけ方をしてるんだと思う」
「拒絶。なんだか怖い言い回しだね」
「たまにあるんだ。そういう魔法由来の、普通の法則が当てはまらない怪我とか傷。……わたしは
アルはこの城へ来る前、世界中で活躍する著名な治癒士だった。通常の医学では説明できないような病状を前にする機会も多いのだろう。
「他の怪我みたいに時間をかけたら治るものじゃないのかな? 一生このまま?」
「自然治癒ならすると思うよ。そういった魔法的な阻害──呪いは、人間の自己再生を阻むことはできないみたいだから。でも……」
そこでアルは何故か言い淀んだ。いつもの幼馴染らしくない歯切れの悪さにローロは瞬きをしてしまう。
淡紫の瞳に見つめられて、アルはゆっくりと吐き出すように言った。
「……もし、絶対に自己再生しないような部位を代償にしたら、もう二度と元には戻らない」
「そ、っか」
今回代償として選択した爪や髪というものは、一度失っても人間由来の回復力によって再生される部位だ。髪なんかは毎日伸びている。爪は再生したとしても多少歪なものにはなるだろう──とはいえ再生はする。
しかし、二度と再生できないような部位を代償として支払えば、元に戻す手段はないとアルは言っている。
「禁術って、たぶんそういう意味なんだろうね」
「うん。……ローロ、あんまり無理しないでね。わたし嫌だよ、ローロのそんな姿を見るの」
「わかってる。ちゃんと考えて使うから。……そろそろお芋、食べごろかな」
「あほんとだ。──あちち、あちっ」
がさがさと枯れ葉をかき分けたアルが、いい具合に湯気を立てている芋を手に取る。
当然のようにぱたぱたと手と手の間を行き来させて熱い熱いと呟いていたが、そのうち慣れたのか。ぱっくりと二つに割った芋の片方を──わざわざ大きい方を渡してきた。
「はいローロの! ほくほくでおいしいよ!」
「ありがとう」
二人してふうふうと吐息を当てつつ、その綺麗な黄色の断面に齧りつく。
「ほこほこで甘いねえ」
「ふかふかしてるね」
むふ、と口に芋を含んだままアルが緩い顔になっている。きっと自分も似たような顔をしているのだろう。
こうしていると昔を思い出す。
ローロの実家は田舎にあって、秋になるとたくさんの落ち葉が積もっていた。それくらいしかなかった。家の食料庫にこうした芋はあったから、アルと共に焼き芋をよく作っては食べていたのだ。
あの頃、アルとローロは二人だけで生きていたように思う。
ローロの母親……マギアニクス・ファウストは日々を魔法の研究に費やしていた。アルの父母は二人とも生きていくための労働に精一杯になっていた。人の少ない田舎では年頃の似た子供はほとんどおらず、だからローロとアルは二人きりで。
二人しかいない世界だったから、何一つ問題は起きなかったのだろう。
「ねえ、アル。メフトさまに酷いことをしちゃだめだよ」
「え?」
「私は知ってる」
ちょうど喉を鳴らして口の中を空にしたアルが、次の一口にかぶりつこうとしているところで固まる。
尚もローロは言った。幼馴染にだけ見せる、普段よりも歳相応に幼い表情で。
「──私は、五年と半年前から、知ってたみたい」
何を、とも。
何が、とも。
決してローロは語らなかった。語らないからこその真実を、幼馴染同士、察せると信じていた。
「【
「……」
アルは何も言わない。彼女の両手にある、熱量を持った物体は納まるべき場所を失って湯気を立てることしかできない。
ローロとて同じだ。
「アルを助けた時にね、【MOS】は稼働状態への移行判断を含めた全ての権限を私に譲ってくれたの。私は初めて【MOS】を隅々まで把握することができた」
『ローロ・ワン』という人格を構成するものは三つある。
一つはローロ・ワン本来の肉体が受け持つ
二つは、そんな生体脳を補助する形で存在する【シナプス代替魔法】群による判断機能。
三つは、そんな
そのような魔法と生体による複合人格を私は『ローロ・ワン』と自認している。
三つの判断機能が複合されることで自然発生した人格。しかしそれは、奇妙な上下関係が絶対のものとなっている。
「アル、分かるよね。私は【MOS】による支配構造の中に私という人格を発生させているの」
「……【MOS】は強制命令権があって、他二つはそれを拒むことが出来ない」
事実を再確認するような言葉をアルは呻いた。
その通りだったから、ローロは頷く。
「そう。私は【MOS】を拒めない。この肉体は【MOS】が決めたことを拒む術がない。だからね、【MOS】に偽装する形で仕組まれた幾つかの魔法があっても、【MOS】を経由する命令なら拒めないし、
いつの頃から【MOS】を、非稼働状態が常とはいえ発動し続けているのかローロ・ワンは憶えていない。ローロが覚えているのは、『【MOS』を母親から貰った』という事実だけ。
演算機構型魔法百京の常時展開──それは、まっとうな生物が無意識下でしか心臓を動かしていないように、ローロという存在が当然のようにしている行いの一つでしかなかった。
恐らく【MOS】を停止させることは出来ないのだろう。
止めれば死ぬと分かっている心臓を、生物が自己の決定によって止めることは出来ないように。
「その内の一つが、アルの作る魔法とよく似ていたんだ」
「──」
【MOS】に潜む『不正な魔法』の一つは、ローロ・ワンが得た五感情報を盗み見ているようなものらしかった。酷く巧妙に隠されているその魔法を把握する切っ掛けは、今隣で沈黙を保つ幼馴染が発動させた魔法を間近で見たことだ。
アルが扱う魔法は理論的な部分が一切存在しない、ひどく感覚的なもの。1900年代的魔法価値観で言えば『古い』と評せる。その魔法展開には明確な癖があり、それと同じ癖をローロは【MOS】に巣食う魔法の一種に見つけていた。
だから──というわけでもないが。
「あの人形兵、アルの作ったものなんでしょ」
「……その。えっと」
推論を言えばわかりやすくアルは狼狽えてしまった。
白を通り越して真っ青になった幼馴染が、言葉をどうにか紡ごうとする。
「……あ、あのね。わたし、その、ローロを苦しめるつもりはなかったの。ほんとはあんなひどい怪我をさせるつもりもなくてっ、だから、その、あのっ」
「怒ってないよ。逆にね、私、少しだけ嬉しかったんだと思う」
「……え?」
あの仮面の男はローロに戦い方というものを教えようとしている様子があった。
魔力がないなりに出来ることを伝えようとする言動に、違和感がなかったわけではない。だが、それがアル・ルールという幼馴染によるものだと分かれば納得できてしまった。
心の底から、アルはローロ・ワンを想ってくれている。
「だから」
──だから余計に、ローロは幼馴染に言葉を重ねることしか出来ない。
「アル、私に嘘をつかないで。私の大事な人にひどいことをしないで」
「……………………」
ローロ・ワンの怪我で苦しむ、世界で最も強い魔法使いがいる。その事実に心の奥底が痛むことをもう知っている。
二度と、彼女に同じような思いはさせない。させたくない。
──そんな祈りが届いたのか、アルは本当に悔しそうな目をして、虚空を睨んでいた。
「…………魔王さまが、ローロに何をしたか知ってる?」
「わからない。でも、私の全てだよ」
「あなたの人生を狂わせた女だよ……?」
「だとしても今は私の大事な主君だよ」
「……っ」
大事な年上の幼馴染。彼女の翡翠にも似た濃青の瞳には今、大粒の涙が溜まっていた。
だけどかわす言葉を止める手段を、アルもローロも持ち得ない。
「どうして? だって出会って一年も経ってないじゃん。わたしの方がローロと長く過ごしてた!」
「時間はきっと関係ないんだと思う」
「時間以上の重みが……この世界のどこにあるの? それさえ負けたら、私は、私は……!」
『ぼとり』。
地面に落ちた芋は、アルが持っていたもの。それに気を取られていると──気づけば視界一杯に女の体があった。
「あ、アル?」
「──初めて会った時から一目惚れだった!」
唐突な告白には熱があった。
たった今、めいっぱいの力で抱きしめてくるアルの全身にも。
似た背格好の女に抱きしめられて、あまつさえ押し倒す勢いで体を押し付けられる。その柔らかさを感じつつ背を曲げて──だけどローロは倒れなかった。アルを支えることができた。
「私その頃三歳だよ」
「年齢なんか関係ないよ。だってわたしはそう思ったの。ローロの綺麗な瞳と髪をみてそう思った!」
「……」
「私はあなたのことが好きだし、あなたを心の底から救いたい。だから私は治癒士になった。あなたの、頭の中にある空白を治したいから」
首に擦りつけられる柔らかい栗毛の感触。すすり泣く小さな音。震える背中。
七つも年上なのに、すぐこうやって泣いて、すぐこうやって抱きつくところは昔から変わらない。ローロ・ワンにとってかけがえのない幼馴染は本当に何一つ変わらず、今もここにいる。
何故か口元に笑みが生まれた。困り切った笑い方をしている自覚があった。
「約束して」
「うん」
「絶対に魔王さまなんかのために命を無駄にしないで」
「うん……」
「あと結婚して」
「それは無理……」
彼女の背中を何度か撫でつつ、泣き止むのを待つ。
そのうち静かになっていくアルをそっと引き剥がすと、「ローロぉ~」と情けない声を出す幼馴染にハンカチを差し出した。
ぽろぽろと泣き続ける彼女に、最後にひとつだけ訊く。
「ねえアル。『不正な魔法』の中には、私に何かを強制する魔法もいるんだよね」
「………………うん。わたし、ローロには嘘つかないよ」
「それは、母さんが関係してるんだよね」
「…………たぶん」
──ああ、やっぱりそうなんだ。
不思議な納得が全身に行き渡るようだった。
以前から時折、自身でも理解できない行動をする時があった。理由のない行動をローロ・ワンの肉体は行わない。だというのに、何かに強制されたような違和感だけが残る説明不能な行動。
その全てがメフトに関連する時にばかり起きていた。
「……私ね、ここへ来るまでは母さんの言葉が全てだった」
メフトは、マギアニクス・ファウストという名を知っている。
そして今ここにいるアル・ルールもマギアニクス・ファウストを知っていて、ローロが
点の事実は、推論混じりではあるものの、朧げな線になる。
──母は、娘に、メフトに対して致命的な何かをさせたいのだ。
「だけどそれ以上の何かを見つけられた気がする。私は、親の言う事だけを守れる、いい娘にはなれそうにない……」
母は言った。
編み物を毎日やれと。
母は言った。
髪を決して切るなと。
母は言った。
誇りを持って死ねと。
母は言った。
騎士になれ、と。
「──私はメフトさまのために戦うよ」
だから騎士になろう。メフトという主君を守る騎士に。
言いつけは、ひとつだけ破ってしまったけど。
それでも母親の遺言は叶えなければならないと思っているから。
「……わたしはそれでも、ローロを助けたいと思ってるからね」
「うん。ありがとうアル。私、アルが幼馴染でよかった」
「ろ、ローロぉ〜!」
また抱きつかれる。
いつもの幼馴染に何処かでほっとしていた。
◇
その日の夜。
私室で髪の手入れを終えたローロは、寝間着に使っている薄手のワンピースに着替えるとそっと部屋を出た。その両手に枕を抱えながら。
向かう先はすぐ隣の部屋。王の私室。
扉を叩く回数は四回。そういう風に、メフトと決めごとをした。
すぐに扉は開き。──そこにはつるんとした黒髪の美しい、白い肌をした女王がいる。彼女もまた薄手の長衣一枚というシンプルな出で立ちだった。
「メフトさま。今日も、その、いいですか?」
声音は密やかに。城内には客室で眠るアルしか居ないとはいえ、誰にも気付かれないように。
囁いた声音に、ローロもどこか落ち着かない様子で頷いている。ローロを受け入れるとすぐさま扉を閉めてしまう。
……なんだか。まるで。
「悪い事でもしてるみたい」
「私もそう思います」
メフトがくすくすと小声で歯を見せるから、ローロも頷いていた。
穏やかな時間。
音のない時。
薄らと開けたカーテンの先から届く、月明りの覚束ない灯だけが室内を照らしている。
二人して並んでベッドの縁に腰掛ければ、──きっと心配してくれているのだろう。
「ごめんなさい。ちょっと、いーい?」
「……はい」
女のほっそりとした指先がそっとローロの手を取った。
爪先に包帯が巻かれた左手を、彼女は自身の頬に当てる。
「ん……」
少女の手のひらから伝わる熱を染み渡らせるように首を預けて、あまつさえ自身の左手で柔らかく押さえる動き。
深い慈しみで閉じた瞼。その細い眉。
綺麗だと素直に思えた。見逃すことなんて出来ないと。
包帯越しの爪先から伝わる、彼女の体温が剥き出しの肉を通じて寄こす奇妙な痛みでさえも、どこかでローロ・ワンをぐずぐずに溶かしてしまう気さえした。
「爪、痛い?」
「……少しだけ。でもこうしていると落ち着きます」
「そ。ならよかった」
少女は目を瞑り、女の行いを素直に受け止めている。
「こんなに小さな手なのに、ちゃんと自分の大事なものを守れたのね」
「メフトさまの騎士になれたからです」
「……そーお? なら、叙任してよかったのかも」
この時間が何なのかと言えば、別に特筆すべきことのない、夜寝る前の他愛ない雑談ということになる。
以前からこうして共に寝る機会が多かったのは事実だ。その度にローロもメフトも寝つきが良いということには気付いていた。
だから、というわけでもないが。
「ローロ。私のローロ。寝ましょうか」
「はい。メフトさま」
気付けば二人は、こうして同じベッドで眠る日が時折あった。
ティアレスは森の野営地で眠るし、アルは客室がもっぱら私室代わりになりつつある。どちらも女王の私室からは遠い。二人に見つかることはない。
ここには女王と、彼女に仕える騎士だけがいる。
枕を並べ、同じ布団を共有すること。こっそりと横を盗み見れば、その滑らかな横顔は確かにある。彼女はすでにその呼吸を穏やかで静かなものに落としつつある。
ローロもまた目を瞑った。
そして、思った。
私はきっと、メフトさまを愛しているのだろう。
アルを救おうと決めた際、ティアレスもメフトも好きだと叫んだのとはまた別種の感情が自身の胸中で渦巻いている。
いつからかは分からない。
けど、
幼馴染は言った。『どうして』と。一年も経っていないのに、と。
確かにその通りだ。時という絶対の座標は、誰しもに均等に降りかかっている。
たった半年共に居ただけでこうまで彼女を想うことが出来るようになった自分が不思議でならない。
だけど。
「ああそうだ。今日の夕食に出てきた野菜、あれってローロが作ったものでしょう? とっても美味しかった」
「ありがとうございます。明日も美味しいご飯になるといいと思います」
「ええ。そうね。……じゃあおやすみ」
芽生えてしまった情動の止め方は、知らないから。
だからここに芽生えた愛情に誓って、主君が望みさえすれば、光だって叩き斬ろう。
「──おやすみなさい。メフトさま」
──・従者に植え付けた感情
──・主君が責務から抱いた感情
──・愛はどのようにも形を変える剣だ
──・同時に、波と粒子が見せる速度にも似て歯止めが効かない
──・何もかもを叩き切る性質
──・何物にも止められない性質
──・曲がりなりにも双方向に成立してしまったその情動
──・熱情は、永遠の下り坂を転がる石にも似て不滅だった
──・可愛い可愛い私のぬいぐるみ
──・ローロ
──・ローロ・ワン
──・おまえはいつまでも私の可愛い
──・出来の悪かった
──・主従の間に芽生えさせた歯止めの効かない愛情が光さえも割断する
──・おまえはメフトという光を叩き斬らなければいけない
──・そのために生きているのだからね
<二章 完>
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