【不死 VS 不死】 Act.1


 とても気持ちがいい、爽やかな秋の朝。

 僕は久しぶりに大きなタウンに来て、ちょっと疲れたから広い林の片隅で仮眠してた。

 栗の林。きっと畑だ、大きくてツヤツヤな実がたくさんあった。

 レスタに食べさせてあげたいな、焼き栗大好物だった。

 ああ、みんな天国でどうしてるんだろう……。

 なんてうたた寝してたら、急に首の皮つかまれた。

 この持ち方をする奴の99.9パーセントは猫嫌いだけど、今まで生きてきてこれをやられたのはムタの部下以来だ。

 ムタの部下は猫嫌いってわけじゃなくて、得体が知れないからビビってただけだけどさ。

 誰なんだこいつ、顔が見えない。

 スタスタ歩いて、地面に穴を掘ってためた水の中に、無言で僕を放り込んだ!

 寝起きと想定外でものすごく動揺したけど、反重力で飛び出した。

 ふ、普通やる?

 見も知らない生きた子猫、水に投げ込む?

 そしたら今度は足蹴にされて水の中に落とされた。

 これも完全な想定外だったけど、反重力で脱出。

 相手は30代後半くらいの目つきが悪い黒髪の男。

 さすがの僕もちょっとキレて、氷魔法でで水を凍らせた。

 そしたら「魔獣かよ」って呟いて、腰に差した鉈で斬りかかってきた!

 こいつ、やばいっ!! 頭おかしい!

「俺は猫が嫌いだ。魔獣猫はもっと嫌いだ。殺す」

「猫にだって生存権があるぞ!」

 思わず言い返したら急に目の色が変わって全力で殺しにきた。

 逃げる。神足で逃げた。

 フレイヤ様……あんな危険生物を放置しないでください。寿命が縮みました。

 でもあれ、まさかと思うけど、人間に化けた魔物だったりする?

 可能性はゼロじゃないんだよね。

 ハイレベルの魔物の中には、人になりすましてる奴もいる。

 そういう連中は気配の微かな違いを感じ取る動物に嫌われる。

 ——そして、魔獣はそういうのを探し出す。

 ただし厄介だね、あいつからは魔物の気配を感じなかった。

 あれが魔物だったらとんでもないレベルだぞ。

 ……頭おかしい奴ってことにしておこう。

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