【危機】 Act.11


 親族会議、そうとう荒れたらしい。

 そうだろうね、そりゃ。

 当主のレスタが頭下げて「このままみすみす没落するよりは、名誉挽回の機会を与えてやってほしい」って、一族の了解を取り付けたって。

 ヴァルターシュタイン家次期当主、ジル・ヴァルターシュタイン誕生。

 当主になる。はまだ先だから、覚えるべきことを覚えて。

 心得、礼儀作法。言葉遣い絶対直して。

 立ち居振る舞い。

 社交術……は何とかなりそう。

 もちろん勉強も訓練も必要だし、1日30分でもいいから伝記を読むことを薦めるよ。

 君が伝記を読み始めたら、話してあげるよ。

 17代目から続く、ヴァルターシュタイン戦記を。


 ちなみにジルは今、あちこちのパートナーショップに通い詰めてる。

 魔術師になったら僕がバディになると思ってたらしい。

「バカ者、ルイは私のバディだ。契約の言葉を学校で習っただろうが。まあ、お前の息子か孫のバディになるだろう」

 まだまだいろいろ舐めてるな。

 もうひと絞めしよう。

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