第10話 『10 魔王アポゴノス』

『10 魔王アポゴノス』


 王都でシュネルが核熱炎の魔法を使い、大爆発させた。

 その結果を魔族国で聞いたのが魔王アポゴノス。

 魔族国の覇者と呼ばれる位置にいる。


「失敗したのは水晶で見ていた。あれは誰だ?」


「魔王様、わかりませんでした。勇者クリシスでも騎士団でもありません。知らない人物らしいです」


 返答したのは現地でシュネルが核熱炎を見た魔族のジャパレス。

 遠くから指揮していたので核熱炎を受けなかったが、わずかの生き残った魔族で魔族国に帰国した。

 魔王を前にして恐怖する。

 作戦を任されて大失敗したからで、この場で殺されるのを覚悟した。

 絶対的な強さで魔族国を支配する魔王アポゴノス。

 見た目は人族の青年のような姿。

 綺麗な顔をしていて、とても魔王には見えないが、魔族の頂点にいる。

 20才くらいの人族にも見えるも、魔力は魔族最高である。

 ジャパレスですら魔力で接近できない程だ。


「あの火魔法は魔族にとって最大の驚異になりえる。勇者クリシスでもないなら暗部団か」


 魔王は火魔法は水晶で見ていたが、誰かまでは知りえなかった。

 暗部団には知っている魔術師ルフィーシャがいる。

 ルフィーシャが使ったとも考えた。


「可能性はありますが、今まであんな魔法は使いませんでしたから、どうでしょうか」

 

「とにかく次は私の部隊で侵攻しますよ魔王様」


「シュート博士か。キミの魔ゴーレムは出せそうかい?」


「出せる。人族に魔ゴーレムの恐ろしさを見せてやろう」


 シュート博士は魔族ではない人族。

 年齢は45才。

 博士と呼ばれるのは、ゴーレムを研究して製造するのをしているからだった。

 研究室は魔族国にあり、人族を制圧するのが目的で製造している。

 シュート博士はなぜ人族と敵対しているかというと人族が嫌いになったのが大きい。

 人族が嫌いになり魔王の元に来て研究をしている。


「魔ゴーレムを俺に貸せよ、俺が指揮する」


「ジャパレスが魔ゴーレムを扱えるか疑問。あれだけの大量の魔族を死なせておいてよく言えるな」


「シュート博士はしょせんは博士に過ぎない。戦闘は俺がやる。黙って魔ゴーレムを貸せ」


「魔王様に言えよ。でも失敗したらその首は危ないですよ」


 シュート博士はジャパレスに忠告する。

 確かに連続しての失敗はジャパレスにとっては致命的。

 首が飛ぶのは覚悟するしかない。

 魔王アポゴノスを見ると表情は無表情だった。

 ジャパレスは魔王アポゴノスの命令に従う。


「よしジャパレス、魔ゴーレムを使え。そして今度こそは人族を制圧しろ」


「はい魔王様」

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