第4話 『4 決闘』

『4 決闘』


 でもまだあきらめるのは早い。

 ファイア(弱)を使っていないからな。

 せめてファイア(弱)を使ってから死んでもいいだろう。

 ファイア(弱)は魔族と戦った時に魔法陣の術式を燃やして書き換えてしまった。

 そして全く別の魔法になり、魔族を殺してしまった。

 魔術式を変えられるなら、まだ俺にもチャンスはあるか。

 発火魔法を習得していた。

 発火魔法ではリデルには通用しないだろうが、試そうか。


「発火魔法!!」


「ふふ、そんな初級の発火魔法で私に通用するかよ」


 予想通りだった。

 発火を放ってみたが、リデルは剣で軽く防御してしまった。

 今の防御で国でも有数の剣士だとわかる。

 そしたら発火を今度はファイア(弱)で変えてやろう。


 今度は発火の術式にファイア(弱)で書き換えてみた。

 しかし術式は俺は詳しくはないが書き換えた。

 魔法は最弱でも勉強はしていて、魔術式は見ていた。

 それが今になって活きてきた。

 術式は燃えて消えると、新たに術式ができる。

 自由に書き換えるのは成功した。


「また発火か。だから私には通用し、これは!! 発火ではない!!!!」


 最初に放った発火とは明らかに違った。

 火力が違う。

 強力な火がリデルに向かったのだ。

 これはどうなる?

 リデルは防御したが、火力が強くてリデルは後方にぶっ飛ばしてしまう。

 まさかだよな!


「リデル!!」


「なんだ今の発火は!! 発火ではない、今のは発火の上位魔法である炎上だ」


「ううううう、炎上になるとはな。発火だと思って油断した」


「決闘は終りだ。これがシュネルのファイア(弱)。魔法の術式を変えてしまい、別の魔法にしてしまうのです」


「初めてみる能力です」


「団長がシュネルを入団させたいと思うのがわかった。すまんシュネル。決闘など言い出して、おめでとう入団を認めるよ」


「いいえ、俺も自分のファイア(弱)をわかっていない部分があります」


 剣士リデルと握手する。

 俺を暗部団として認めてくれた。

 俺のファイア(弱)を受けて。


「おめでとうシュネル。キミは騎士団を不当に解雇された。今の騎士団は使い捨てに人を解雇する。フライ国王のやり方だろう。フライ国王は強権政治だ。人を使い捨てに使う。ファイト団長も同じだ。シュネルは暗部団に入って騎士団を見返すんだ。キミならできるよ」


「見返すか、俺にできるかな」


「できるさ。解雇されて悔しいだろう。暗部団で活躍して、ファイト団長を後悔させればいい。剣士リデルも騎士団を解雇されて暗部団にいる。ファイト団長だって剣士リデルが暗部団で活躍するのはおもしろくないのさ」


「やってみます。騎士団に俺を解雇させたのを後悔させます」


「入団おめでとうシュネル」


「今日から暗部団だ。今後は私の下で仕事をしてもらう。特にファイア(弱)は鍛え次第では強力な能力になりえる」


 魔術師ルフィーシャ、受付嬢ユミン、店主のマギラスからも祝福された。

 思えば騎士団を解雇されて俺は進む道に困っていた。

 そこへ団長から誘いを受けて暗部団へと入団した。

 しかし喜んでいる場合でもない。

 ファイア(弱)はまだ謎であるし、完全に使いこなしているわけでもないのだ。

 ファイア(弱)をもっと実戦で使えるようになれば、騎士団を解雇した連中を見返すのもできるよな。

 俺を解雇した団長や笑っていた連中だ。

 そいつらを俺は尊敬していたけど、今は尊敬などない。

 バカにされてなお尊敬することなどないし、俺だってやれるのを知った。

 


暗部団

最悪の者達の集まり


ビラータ団長 女



剣士リデル 女



魔術師ルフィーシャ 女 



受付嬢 女

ユミン



飲食店の店主 男 

マギラス

暗部団の本部 飲食店の地下

諜報部員



ー------------



 決闘を終えて再び本部に戻った。

 これからは普段は本部に来て仕事をする。

 仕事は団長から言われる。

 内容はその時によって変わるという。


「シュネル、私の暗部団はあくまで国を守るのが目的だ。敵は魔族であるのは騎士団にいた時と同じ。騎士団と冒険者パーティーが基本的には魔族と戦う。それとは別に我ら暗部団も戦う。ここにいるのはみんな解雇されたり追放された者。それを私は集めて暗部団を結成した。追放された集まりで魔族と戦う。いいですねシュネル」


「わかりました、俺はこの暗部団で頑張ります。騎士団を解雇されてしまったけどやってみます」


 本部で俺は受け入れられて、歓迎された。

 最初は剣士リデルと決闘して怖かったけど、今は笑顔で受け入れてくれたから良かった。

 みんな訳ありらしいし、リデルが国家最高級の剣士となると、相当の理由がありここにいるんだろう。

 他のメンバーもリデル並みの能力なら、恐ろしい団であるな。

 食事をご馳走になる。

 料理はマギラスが作った。

 普通に美味いな。


「団長、情報だぜ。外に魔族だ」


「情報ありがとうマギラス。よしさっそくシュネルも仕事だ。外に行くよ」


「はい」


 店主マギラスから情報があり、魔族が来たらしい。

 確か店主マギラスは諜報活動もするというから、彼が情報を持って来た。

 またも魔族か。

 よく来るな。


「前回の魔族の襲撃は騎士団と冒険者パーティーで制圧。しかし今回はそうはいかない。数が多い。魔族の数が増大している。我らも加勢するぞ」


 ビラータ団長と共に剣士リデルと魔術師ルフィーシャと俺で向かった。

 王都の外ではすでに戦闘が開始されていて激しい戦いがあった。

 凄いな、こんな魔族の数はめったにない。

 

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