第3話 『3 暗部団に入団』
『3 暗部団に入団』
「それは私達が暗部団だからさ。暗部団にいるのは全員が特殊な理由があって冒険者パーティーと騎士団には所属していない。どこにも所属できない人物ともいえるかな。それを団長が集めて仲間にしてくれた。ここにいるのは特殊な人間の集まりなのよね。つまりは世間ののけ者というか、悪く言えば危険人物ね。そして世間の情報を独自の調査で集計している。シュネルが今日解雇されるのも知っていた。そこで団長はシュネルを偵察していたのさ、おわかりですか?」
リデルが説明してくれたが、情報をかなり持っているらしい。
ビラータ団長と出会ったのは偶然ではなかったわけか。
俺を観察していたのだから、ファイア(弱)を知っていて当然だ。
「じゃあ俺と出会ったのは追跡していたからか」
「うん、私はただシュネルを追跡した時に、どんな人物かを知りたかっただけ。そしたら魔族が攻めてきて戦闘に突入したから私はシュネルを観察した。すると驚くべき能力を発揮した。あの火魔法を見て、私はシュネルを入団させたくなったのだ。それだけ興味深い魔法」
「騎士団を解雇されたのは役に立たないからで、俺に地下活動的なことが出来るとは思えないけど」
暗部団が冒険者パーティーや騎士団に入れない特殊な人で構成されているのはわかったけど、俺が一緒に活動できるかは自信がない。
なにせ俺は騎士団に役に立たないと言う理由で解雇されたのだからな。
能力的に不足だろう。
「そこは私も疑問。なんでビラータ団長がシュネルを入団させるのかを。情報ではまるで使えない戦闘力とある。それなのに入団させるのは、納得がいかない。解雇されたのは明らかに能力不足が理由。暗部団には適さないわね」
「リデルが疑問に思うのはわかる。しかしシュネルの能力は私の想像以上だった。いや常識を超える能力と言ってもいいかな。シュネルは団員としてふさわしいと思ったけど、リデルは不満かな」
「不満だね」
剣士リデルは団長とは違い俺を評価してくれないでいて、意見が対立した。
ちょっと怖い。
俺を毛嫌いしている風。
まあ、普通はリデルのいう意見だろうな。
俺は自分でも優れた冒険者にもなれないと思うし。
この異様な強さが俺にひしひしと伝わる中では能力不足だろう。
「リデルさ、団長が決めたんだ。従いましょう」
「ユミンはそういうけど、私は認めないよ。暗部団に入るなら私と戦いしなさい。それで能力を確かめる、団長それでいいだろう?」
リデルと戦いを?
何を言い出すんだ!
俺を実戦で確かめる気だな。
団長は何て言うかな。
勝てるわけないよな。
リデルの強さは聞かなくても伝わる程に、強そうだ。
おそらくは剣士としても優秀なのと思えるから断ると予想した。
冒険者にもなれない理由は知らないけど、上位の冒険者の力はあるのは確実だ。
リデルの提案を受けるのかと返事を聞くと、
「う~ん、リデルと決闘か。認めよう」
認めるんかい!
「シュネル、私と戦いよ」
「俺がか」
守ってくれるかと思ったら即断で決闘を認めるビラータ団長。
マジでかよと言いそうになった。
俺は先ほどの魔族との戦いに勝利した事でレベルアップしていた。
思った以上に魔族はレベルがあって経験値が多かったらしく、俺のレベルは8から15にまで上がっていた。
今までにない上がり方で多少は強くはなった。
発火魔法を習得していて、リデルとの戦いで使えるがファイア(弱)が使えるのかは不安だ。
偶然だった可能性もあり得る。
ビラータ団長に連れていかれて誰もいない場所に行った。
ここで決闘か。
「シュネルは見たことない火魔法がある。それをもっと確認したいのでシュネルはファイア(弱)を使いなさい」
「はい」
「ふふ、そのファイア(弱)っていうのが団長が気に入った魔法なのね。いいわよ、そのファイア(弱)を私にどうぞ。(弱)ってなによ、笑っちゃうわ。初めに言っておくけど私はこの国でも最高峰の剣士だってこと!」
リデルが最高峰の剣士!
聞いてねえっての!
確かに強いなとは思っていたが、まさか最高峰の剣士とは。
そしたら騎士団のファイト団長聖騎士ガナドルとも互角とかで戦える。
そんなの俺が勝てるはずない。
「さあ、決闘を開始!!」
団長の合図で開始。
リデルが剣を抜く。
するとリデルの姿が消える?
速い!!
速すぎて見えない!
いや俺の眼力が低いだけで、リデルを目で追うのは無理だったのだ。
「遅いよシュネル」
「り!!」
リデルは俺の真後ろだった。
いつ後ろに行ったか見えない。
そして俺はその場に倒れていた。
剣で切られていたなら死ぬな。
背中が傷む。
やはり俺の実力でリデルに勝つのは不可能だった。
団長は俺の能力を間違えた。
リデルと戦える程に強くはない。
このまま死ぬのか。
「シュネル、使ってみなさいファイア(弱)を」
リデルが挑発してくる。
完全に俺をバカにした目だった。
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