第2話 『2 暗部団の団長』
『2 暗部団の団長』
「えっと、俺の火魔法のファイア(弱)で討伐したけど」
誰かは知らないけど、俺の戦闘を見ていたらしい。
そして興味を持っている風だ。
若い女性で美人な女。
剣士である剣も持っている。
冒険者かな?
「ファイア(弱)だと? 弱い火魔法で攻撃したはずだった。しかしなぜか魔術式が変わり、上位の火魔法になった。そうだろ?」
「はい、俺のファイア(弱)です。今まで知らなかったけど、魔術式を燃やして変えられるようです」
本当は理解していないけど、多分だけど術式を変えられるのだと思い、それを伝える。
自分でも何を言っているかわからないけど。
頭がおかしいと思われるかな。
「魔術式か燃やせるのか? そんな魔法は聞いたことがないぞ!!!」
「俺も聞いたことがないですけど」
やはり驚いている。
女は俺を怪しく見ている。
誰だかわからないけど、冒険者なら俺の魔法に興味を持つのはあり得るかな。
「私はビラータだ。キミの名前は?」
「俺はシュネル。お願いだ、魔石は渡すから命は助けてくれ!!」
なんで俺の名前を聞くのか。
もしかしたら俺を殺す気か。
冒険者には金が欲しくて、盗賊まがいのもいる。
しかも魔石を回収したばかりだ。
この魔石を強奪すると考えられるな。
ヤバいだろう、殺されたくはないし、魔石は残念だがビラータに差し出すか。
差し出して命乞いした。
情けないけど、命の方が大事だしな。
「助ける? 何を言っているのだ。私はシュネルを殺したりはしない。怖がらなくていい。危険な行為はしない。聞いてくれ、急な話だがキミを誘いたいと思う」
「誘う??」
誘うとは?
どうやら殺す気はないよう。
「誘うのは私が団長をしている暗部団にだ。私は暗部団の団長ビラータ、正式にシュネルを暗部団に入団させたいのだ。入団して欲しい」
「えっと?? 暗部団とか聞いたことがないですけど、どこかの冒険者パーティーの名前ですかね」
暗部団?
聞いたことなし。
暗部団に誘われるも聞いたことがなかったので疑ってしまう。
まあ冒険者パーティーならば仕事がない俺には入団する価値はある。
解雇された身であるし、仕事が欲しいと思っていたところだった。
「冒険者パーティーではない。聞いたことがないのは当然だ。暗部団は普段は非公式な組織であり、冒険者にも登録は要らない。知っていてもほとんど謎の組織とされる。しかし安心してくれ報酬はでるからな」
「非公式な組織? それがなぜ俺を誘うのか理解できません」
なんと非公式な闇の組織らしい。
怪しい気がするが、言っているビラータは真剣な顔だ。
大丈夫かよ、そんな組織に入団てさ。
「シュネルの火魔法に興味がある。ぜひとも暗部団に誘いたい」
「入団します」
怪しいけども入団すると言った。
なぜなら報酬はあるというから。
今の俺は無職だから、報酬が得られるのは大きい。
それに俺のファイア(弱)魔法が価値があるというのも俺にとっては重要だ。
ここは入団して、騎士団ではない新しい生き方を決めるのが大事だった。
いつまでも騎士団にこだわっていても生きてはいけないのだから。
「入団は認める。ついてこい暗部団の本部に行く」
そのまま付いていった。
不安はあるが。
「本部ですか? 飲食店ですよね」
「本部だ、入れ」
入団が決まりビラータは俺を本部に連れていってくれる。
本部が王都にあるらしいが、徒歩であった。
王都の表通り、人が多く通る。
闇の組織なのに、こんな表通りなのかよと言いそうになった。
しかも飲食店だった。
入店すると店主の男が来て、
「ビラータ、彼は誰だい?」
「紹介する、シュネル。新しい団員だ」
「新しい? 新メンバーか、よろしくなシュネル。俺は店主のマギラス」
「よろしくです、マギラス」
店主は男でマギラスと名のった。
俺よりも年齢は上だな。
しかし闇の組織なのに飲食店の店主に紹介していいのかよ。
全然、闇でもないし暗部でもないだろうに。
ビラータはそのままマギラスを素通りして奥のキッチンに行くとそこから下に行く階段を降りて地下の部屋に。
地下室があるのか。
なんと飲食店の地下に本部があるようだ。
「ビラータ団長おかえりなさい。あれ彼は?」
「新しい団員のシュネル。みんなに紹介する」
ビラータに話しかけたのは女性。
その他にも数人が地下室にはいた。
紹介するというからには暗部の団員と思える。
俺を初めて見て観察している感じだ。
「彼女は受付嬢のユミン」
「よろしく、ユミンよ。暗部の受付嬢をしてます」
「よろしく、シュネルです」
ユミンは若い綺麗な女性で、服装は防具ではなくて椅子に座っていた。
受付嬢というから、戦闘向きではないのと予想した。
敵意は感じない。
「私は剣士リデル。暗部では剣士をしている」
「よろしく」
剣士リデルと挨拶をした。
彼女はユミンとは違い、剣を持っている。
しかし見た目は強そうには見えないが、ただらなぬ雰囲気を感じさせる。
なんだこの異様な空気感は。
感じたことがないぞ。
ただ可愛いさは一級品だよな。
騎士団のファイト団長とは違う、負の空気だ。
暗部団の団員だからかは、わからない。
「私は魔術師ルフィーシャ。暗部団では魔術を使える」
「よろしく」
俺は魔術師ルフィーシャと挨拶をした。
彼女もまた怪しい空気感が漂うな。
美人な女性だが、街で会いたくない雰囲気だ。
魔法使いらしいが、異様な強さを感じた。
魔力も底知れない量があると感じさせる。
暗部の人はみんなこんな感じなのか。
俺は何か間違いをしているかな。
ここに来るべきではなかったかと不安になった。
「暗部団はこれで以上だ」
「えっ、これだけですか、店主のマギラスは?」
「彼も暗部の団員だが、この部室の護衛と諜報をしていて普段は店主をしている。誰も王都の人は暗部団のことは知らないし、この地下室も知らない。団長の私、店主マギラス、受付嬢ユミン、剣士リデル、魔術師ルフィーシャの5人、そしてシュネルが入って6人目の団員」
たった6人しかいないらしい。
だがまだ謎だらけだ。
どういう活動をしているのかが、全くの謎。
そこが一番重要な点だが、まだ説明はないな。
いったい何をしているのか気になる。
「活動の内容が知りたい」
「我々は謎の組織と言ったね。でも王族とは繋がっているんです。王国騎士団、冒険者パーティーが世間では魔族と戦うのは知っているよね。我々も魔族と戦う。王族から依頼されてね」
「王族から依頼を。そんな話は初めて聞きました。もし実力があるならば、騎士団に入って活動するか、冒険者パーティーで活躍すればいいでしょう。なぜ暗部団となって、隠れて活動しているのかな?」
俺は団長に思い切って相談する。
とても重要なことだし。
「ふふふ我々は全員が訳ありなのでな。冒険者パーティーにも入れないし、まして騎士団にも入れない存在なのだ。シュネルと同じさ。シュネルは騎士団を解雇されたのだろうことは把握済みだからね」
「ええっ? どうして俺が騎士団を解雇されたのを知っているの。知っているはずないのに」
ビラータ団長はなぜか俺の解雇去されたのを知っているのは意外だった。
どうやって知ったのか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます