第3話
また思わぬ客人のお陰で村は大忙しであった。それに5日後には村の豊作を祈る祭りがあるのだ。村には客人の若い青年がとてもハンサムだという噂が乙女たちの中では持ちきりで乙女たちはもう既に完成している筈の衣装をもう一度縫い直したり裾を足したりしていた。
村長の娘ということで共に三食食べるが特に抜きん出て素敵とは思わず、彼の貴族らしさがなんだか取っつきにくいと感じていた。
「はぁ……」
アレンは大きくため息をついた。ここ数日父の命令により村を偵察していた。舗装されていない道は土が生乾きのようで靴に密着するような感覚はまだ慣れない。
急に連れてこられたド田舎な村。ここごどうしたら王座を揺るがすのか、ここに来て4日目になるか、特に有力な手掛かりもなく、ただここは遅れてるなぁというくらいしか思わなかった。
明日は村の祭りだと、すれ違う娘達が口を揃えて言っていたが、祭りがどういうものなのか実際知らない彼にはピンとこず、とりあえず皆忙しそうにしているのはそのせいか?とだけ思っていた。
村の活気は日に日に増していき、それぞれの家の塀に赤色と薄紫色、それに千草色のらんたんが吊るされている。暗くなってみるその眺めはさぞ幻想的だろうと思った。ただなぜその3色なのだろうか。そんな疑問を心の片隅に残していた。
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