第33話 日本では戦争禁止の約束
三種の神器は天皇の証しでなく、日本や天皇の成り立ちの歴史そのものなのだ。だから三種の神器は、たとえどんなにみすぼらしいゴミでも問題はない。草薙剱が、ただ草を刈ることしかできない日本史上最弱の剣でも全く意に介さない。誰もそれを批判できないことに価値があるのだ。
そしてそれを決めたのは、古代の天皇である。その草薙剱には、どんな意味があるのか。
日本は、天孫族のヤマト入植に際してある条件をつけた。それは決して争わず、皆の意見に従うことだ。天孫族は、元匈土である。戦闘集団で、朝鮮では幾度も民族存亡の戦闘をしてきた。
しかし、日本では戦争をしてはいけない。日本では、氏族間の話し合いで争い事を回避してきた。話し合いで決まったことが気に入らなくても、従わなくてはならない。
草薙剱は、その証しとして授けられたのだ。天孫族は、その条件を受け入れてヤマトの入植を果たした。つまり神武天皇の即位とは、ヤマトの支配者となったのではなく、ヤマトの一員と認められただけで、しかもヤマトの豪族に服従することに合意した最下位の氏族だった。
それは、それだけ天孫族は警戒されていたことを意味する。天孫族は戦闘集団だけでなく、鉄を造ることができる唯一の民族だった。
十八世紀イギリスは、鉄は国家なりと言って鉄の増産を促した。古代の鉄は、とても貴重で鉄を造ることができないヤマトの豪族にとってはそれは恐怖だった。
当時は、鉄を制するものは天下を制するといわれるほど力があったのだ。それでも、警戒以上に天孫族は期待されていた。 鉄は、川や荒れ地を変えることもできる。水害で頻繁に田畑がメチャメチャになっていたヤマトにとって、これは大きな魅力だった。
古事記の「天の石屋戸」の条には、石屋戸に引きこもった天照大神を引き出し奉るために「天の金山の鉄を取りて、鍛人天津麻羅(製鉄職人)を求きて」とある。
だが、鉄を何に用いたのかは書かれていない。
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