第27話 非国民

 今更言うまでもないことだが、三種の神器は忽然と現れたものではない。必ずある目的で製造され、かつそれぞれの経路を経て、最終的に宮中に入ったのである。

 神器の記述は出自や経路を知るための手掛かりの一つではあるが、比喩やいわれ程度ぐらいの認識しかならない。

 三種の神器は日本究極の至宝であるが、何故かあまり歴史が定かでない。しかし国産か舶来か、時代や製造法、あるいわ素材やどこの産地かである程度は推測できる。またそれが日本の成り立ちを知るうえで重要なのだ。

 しかしこういった考察を「不謹慎」という人もいる。御神体・依り代は神聖にしておかすべからずというのだ。だが私はそうは思わない。私も日本人であり、神社や神器に畏敬の心はあるし、日本的感覚も少ないながらある。

 だからこそ日本の成り立ちの真実を知らなければならないと感じる。日本人が都合の悪いことにフタをし、うわむやにしたり、お上に逆らわず長いものにまかれるのは古代のこの風習から続いていると思えるからだ。しきたりや伝統は実はさほど古い起源でない。それ以上に「物品」を御神体とするのは、比較的新しい起源なのだ。同様に三種の神器の起源も、さほど古い起源でない。

 しかし三種の神器の起源は、天皇家にとって不都合なものだった。天皇の権威や権力を揺るがしかねないため、奈良時代の天皇は三種の神器の起源を封印した。ヤマトが難民キャンプで天皇家がヤマト最下位の豪族であったことを隠すため、誰にも見せず、押さかかえこみ、考える力を削がした。

 こういった政策は、日本人を愚かな民にする行為である。歪んだ硬直した日本人を正すには、日本人に三種の神器の意味を直視させなければならない。それによって、天皇家の権威が堕ちることないと私は信じる。

 逆に日本究極の至宝を三種の神器を二千年にわたって管理し続けた天皇に感謝して、ますます親しみを増すだろう。

 古代日本の真実を明かすことが不都合と思う人物こそ、日本を歪める非国民なのだ。

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