第26話 大逆転
そして草薙剱は、今でも古代日本の本当の姿を語っている。二代から九代天皇まで決史八代といわれ、実績や物語がほとんど記されていない。宮や山陵の所在地も、他豪族の地区にある。そのため実在しないとの臆測もある。
しかし実際は、天孫族の実状を伝えているのである。記・紀ではこの時代、天皇家は他豪族と多くの婚姻関係を結んでいる。天皇家は、外戚となってヤマトの豪族の関係を深めていった。宮を点々としたのも、他の豪族の居候だったからである。天皇家以外のヤマトの豪族は自分のエリア以外の場所を本拠地とした形跡はない。宮を点々とする習慣は、天皇家だけの特別の習慣だ。
天皇家はヤマトでの本領がなく、外戚に寄宿する唯一の豪族だった。天皇家はヤマトで主導者の一員となり、実力者となっても形式的な地位は低かった。飛鳥時代までは、天皇家は他の豪族と対等で合議制が原則だった。物部と蘇我の戦いまでは、天皇家は形式的には物部氏の従属的存在だった。
この戦いで、天皇家は物部氏の管理下から逃れた。
天皇家の地位はその時逆転し、名実共にヤマトの支配者となった。しかし天皇家は、ヤマトの一員の資格として与えられた二種の神宝を捨て去ることをしなかった。二種の神宝の目的は、ヤマトに居住できる入管管理証だった。
そしてその必要がなくなっても、それは三種の神器の二つとして正統な天皇の証拠になり、今も宮中で大切に保管されている。
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