第21話 出雲の目を盗む

天照族は、彼らに鉄を売って情報を聞き出し、難民を受け入れているヤマトという国を調べ始めた。その結果、ヤマトはまだ開拓していない肥沃な土地があり、鉄を欲しがっているものもいるが入ってこないと不満がたまっていることが分かった。

天照族は日向に見切りをつけ、ヤマトに入植することを希望する。しかし、それは出雲にとって都合が悪かった。

ヤマトは、鉄の供給を出雲に渋られていたため農業弱国だった。

しかし、ヤマトは肥沃な土地が広がっており鉄の農機具が手さえ入れば、多くの人も養える。なにより鉄は、武器にも転用できる。鉄の供給を絞られ不満を募らせている国ヤマトに、天照族が入植することは危険だった。

ヤマトには出雲に従属的な部族もいるが、それを快く思っていない豪族も多くいた。天照族が彼らと手を結ぶと、厄介なことがおこるおそれがある。出雲は、ヤマトの勢力図が変わるかもしれない天照族のヤマト入植をなんとしとも阻止したかった。

しかし天照族は、朝鮮半島で鉄を造っていた上得意先でまだ朝鮮に大きな影響力持っていた。天照族とこじれると、鉄が入手できなくなるどころか敵対国に鉄を売るかもしれない。出雲としては、天照族との摩擦は避けたかった。

出雲が対立を恐れて躊躇している間に、天照族は着々と準備を進めていった。天照族は、ヤマトとの中継地点である瀬戸内の国々に休息や食料補給の協力を要請して了解をえました。瀬戸内の国々は、出雲の態度を見てました。出雲が日本で威張れるのは、鉄を独占して供給を管理しているからだった。そして、それを快く思っていないものもいた。

出雲が今、天照族に遠慮して強くでられないのを影で面白がっていた。天照族に協力することで、鉄で直接手に入れることができるかもしれない。瀬戸内の国々の中で初めに協力を申し出たのは、淡路だった。

淡路は本州とは明石海峡で隔てられ、重要な場所でもないので出雲との交流も少なく出雲の監視もいきとどかなかった。天照族はそれをいいことに、鉄の農機具を原住民に売り、農地を買って農作物の作り方を教わった。

この交渉はうまくいき、天照族は農地を確保できた拠だけでなく、住民にも友好的な関係も築け拠点化に成功した。この噂を、天照族はヤマトや瀬戸内の国々に流した。


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