第20話 約束違反
いづれも、託宣で根拠はない。
しかし、創建からそう経ってない奈良時代にあまりデタラメなことをうえば託宣の信用もなくなるだろう。
なにかいい伝えがあり、それを託宣という形で世に出しのだと推測される。その託宣にやると、八幡神は中国を出て朝鮮の新羅より渡ってきたといういい伝えがあるというのだ。
真偽は定かでないが、八幡神と天皇はゆかりが深いといわれている。古代の農耕民は、他所に移動するの何か深い事情があるといわれている。農地は、生活基盤の本丸で命の次に大事なものである。神武東征と九州日向からヤマトに向かった移住は大きな理由があるはずである。
出雲の勢力圏である宇佐では、天照族の居場所はなく未開とされていた南の地を攻略しなければならなかった。この地は、まだ誰も足を踏み入れたものがいない地で天照族は原住民から土地を奪い取り、開拓しなければならなかった。そして、その地は火山灰を多く含み痩せていた。
もともと農耕が不得意の天照族にとっての地は厳しいものがあった。何年経っても満足に農作物を収穫できず生活は厳しかった。また日向の南方系の気候と風土も北からきた天照族には合わなかった。天照族の入植はなかなか軌道にのらなかった。天照族は副業で鉄を造り生計をたてていたが、入植して何年か経ったそのうち日本の国内事情がわかってきた。実は天照族は鉄を瀬戸内の国々に売って、色んなものを買っていた。
しかし、それは出雲との約束違反だった。実は天照族が日本に入植する際の条件として交易を出雲のみに限ることを約束させられていたのだ。出雲は、鉄を独占して日本を支配していた。鉄の分配を調整し、強くなる国には鉄の供給を絞り争いを事前に防ぎ、出雲の優位を確保していたのだ。出雲は天照族に交易を禁じて、日向に閉じ込めようとしていたが、天照族はそれでは満足しなかった。
天照族は欲しいものを出雲に干渉され、制約されるのも嫌で密かに交易を行い、影で出雲を嫌い、また恨めしく思っているものもいることを知った。
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