第17話 外来のヤハタ神と地元のヒメ神
その本殿の奉斎形式も、右に述べたように「特異な配置」である。
そもそも「八幡宮」たることのもとであるハチマン神のヤハタ神も、いかなる由縁の神か詳らかでない。応神天皇であり武勇の神であるとは後から付与させたものである。
いずれにしても、八幡神が日本の根幹であることは紛れもない事実である。全国の神社(神社本庁登録)の過半数を占め全国津々浦々に行き渡り、地方でも重要な要素となって浸透した信仰は歴史や文化を真に説明している。
またさらに皇室のルーツ、血脈そのものの解明につながるものとして注目されている。宇佐神宮には元宮と奥宮がある。「ヤハタ神の元宮」と「ヒメ神の奥宮」である。変則であるが、つまりヤハタ神には元宮はあっても奥宮はなく、ヒメ神には奥宮はあっても元宮がないのである。
外来のヤハタ神と地元のヒメ神が、並んで祀られているのはどういった事情なのだろうか。ヤハタ神に奥宮がないということは、元々ここの神でなく他所からやってきた客神ということである。奥宮というのはそこに初めて神が降ったことの証しであって、いわば「本籍地」である。
つまりヤハタ神は、宇佐神宮に「住民票」は移したが「本籍地」は別にあるというような意味になる。逆にヒメ神に元宮がないということは、ここが生誕の地であって、どこからも移ってきた訳ではないという証しである。ヤハタ神の元宮は、幾つかの説がある。
中津の某神社が有力といわれているが、私はそうは思わない。そんなに近ければいわれが残り、神社間の何からの交流や伝承が残るであろう。それが全くないと言うことになれば、元宮はたとえば交流もできない孤島や海外ほど遠い場所にあると考えている。
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