第9話 朝鮮からの食料難民

当時日本は自然災害が多発し、ヤマトタケルはその対策をおこない成功した。しかし、それではあまり勇ましくない。しかも彼は、一人ではない可能性もある。

天皇の権威を高めたい奈良時代の天皇は、その話を力によって東夷を平定したヤマトタケルの英雄伝説にすり替えたと考えられる。天皇の権力を強く見せるため、東夷の支配を力による征服と変えたのだ。当時のヤマトは東夷を征服できるほどの力はなく、東夷もヤマトから搾取されるほどの支配を受けていなかったと思われる。東夷が、ヤマトの傘下に入ったのは食料問題だった。それほどこの問題は、深刻だった。

朝鮮では高句麗、百済、新羅、任那などが四つ巴の争いを繰り広げ、中国でも多くの異民族が流入し五胡十六国時代となったのは天候不順による飢饉が主な原因であった。日本にも朝鮮から多くの渡来人が渡ってきたのも多くは、食料難民だった。一旗上げようという野心的なものは日本は受け入れることはなく、特別な技能をもつものしか受け入れなかった。

朝鮮人は、鉄を造り日本に売り込んで食料を得て飢えをしのいでいた。そのおかげで北九州だけでなく、山陰・山陽まで大量の鉄が流入して開墾や灌漑工事が容易に出来るようになり、人々の暮らしは豊かになった。

そのような天候不順は北・東日本も同様におこり、多くの難民が食べ物を求めて西日本まで押し寄せた。西日本の各国は食料難民の対応に困惑した。食料難民を受け入れないと難民が暴動を起こすし、受け入れれば難民に食糧や住まいを与えなければならず、また治安も悪くなる。

また難民の数が多すぎて、押し寄せてくる近畿地方の国だけでは対応できず山陰、山陽、九州の各国にも応援を求めた。

そこで、西日本の各国の代表が出雲で話し合った。そして治安の悪化を防ぎ、監視しやすいよう難民を一ヶ所に集めて管理することにした。

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