第8話 慕われるヤマトタケル
また、東夷の人びとの橋渡しの役としても働き密告や監視をおこなっていた。この為にも、草薙剣は重要だった。
当時の東夷は、まだ鉄は超貴重なものだった。鉄がなければ田畑を耕し、堤防などの灌漑工場をするのも限られる。そのように考えれば、ヤマトタケルが何故東夷征討の時のみ天業雲剣を携帯したのか理由がわかる。
ヤマトタケルは、農業生産技術や鉄を東夷にもたらしたのだ。これによって東夷は、国が開かれていった。だから東夷の人たちに慕われ、比較的平和俚にヤマトは東夷を勢力圏に押さえことができた。ヤマトタケルがヤマトの英雄になったのは、この偉業を成し遂げたからだろう。
草薙剣は、ヤマトの東夷平定の象徴なのだ。このように考えないと、草薙剣が日本究極の宝物である理由は見当たらない。天業雲剣から草薙剣と名前を変更した理由も考えられない。
当時の剣の名は、例えば十握剣など勇ましい号や神々しい号が多い。一般に草を薙ぐのは鎌であろう。それならばそういう機能の刃物だからこそ、この名になったのはないか。「名称」を軽んじてはいけない。鏡も勾玉も剣も、それぞれ独特の名がつけられているのである。わけがあって名前がつけられているのであって、ここにも多くの情報が集約されていると考えるべきであろう。
まして、それが三種の神器である。日本最高の至宝である。その名称が便宜的であるとか通商、適当であるとかというならばご都合主義があまりにすぎるというものであろう。日本の究極の至宝を、バカにするにもほどがある。日本を敬う姿勢があるなら、神器を日本人は知るべきである。神器を軽んずるものは、日本を軽んずるものである。
三種の神器は、日本の成り立ちや日本の根本を現在に伝える究極のタイムカプセルなのだ。草薙剣は、その一つである。草薙剣は、日本の重要な出来事の象徴なのだ。
それならば、草薙剣は何を語っているのだろう。それは、当時の日本の災害とそれを克服したことを伝えているのだ。
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