救国の英雄〜メンタルだけなら誰にも負けねぇ〜

渡辺

第1話 こんにちは異世界

 桜舞い散る快晴の朝、どこからともなく漂ってくる花の香りが心をくすぐる。今日は新学期。高校一年生という青春の1ページが幕を開けようとする中、この物語の主人公の俺こと石黒翔太は人生の岐路に立たされていた。


「なんやこれ?」


 目の前に変な渦巻きがあった。イメージとしては天の川銀河を思い浮かべてもらいたい。無駄に神秘的である。

 しかし、ふむ。こうゆう超常的現象と言うのはお約束がある。簡単に言えば、異世界の扉と言うお約束だ。どうゆうお約束だって?知らん。勝手に俺が決めた。

 まぁ、つまるところ。俺に選択肢が与えられたと言う訳だ。


 ――異世界生活か、高校生活か――


 ふむ、少し考えてみよう。俺は引きこもりやらぼっちやら陰キャと違って普通に高校生活に夢見る一般的学生であり、別に現実が嫌になったり異世界にどうしても行きたいわけでは無いのだ。

 それに加え俺はイケメンである。自分で言うのもなんだがイケメンのくせして、謙遜し「全然イケメンじゃ無いよ〜」って言う輩を見て俺はイラっとするのだ。逆も然り、可愛いくせして「可愛くないよ〜」って奴も、イラっとする。つうか、女の場合の方がイラっとする。しかも、女の場合「うん可愛くないねぇ〜」ったら怒るんだぜ。なんやお前ってなる。

 ………話がそれた。つまり、イケメンとして産まれ勝ち組人生の俺は、現実全てを投げ出して異世界に行こうとは思わん。

 どうせなら、クラス召喚してほしい。俺は高校での青春もしながら異世界生活もしてみたいのだ。時期としては高校2年生くらいが丁度いい。その頃には美人な生徒会長の先輩や小悪魔的な後輩、今はいない(本当に実在してない)優しい幼馴染と一緒に異世界に行って、ハーレムウハウハになるのだ。


「よって、異世界行きは却下だ。残念ながら他を当たってくれ」


 俺はそう言って、渦巻きの横を通り過ぎた。けど、うん………おかしい。全然前に進まない。何これ?そう思い、自分の手元を見てみると渦巻き吸い込まれてた。どうやら、思ったより当たり判定デカくて右手が渦巻きに当たったらしい……


「えっ、ちょっまっ」


 こうして、不本意ながら俺の異世界生活は始まった。


 ◆現実は残酷に………


 ――ポッン、ドサ――


 痛って、なんで吐き捨てるみたいに召喚すんだよ。結構飛んだし………こうなったからには仕方ない。まずは情報収集のため辺りを見渡そう。

 何だここは?全面白塗りの壁が辺り一体覆われてやがる。しかも光源らしきものが無いのに何故かくそ明るい。ホワイトルームかよ。

 多分、1日でもここにいたら精神を病むな。


「@qo&*]%|>$+]hs=€[n@¥」


 急に知らない言葉が聞こえ、後ろを振り向くと人が二人いるではないか。それぞれ緑と濃い青の髪色である。多分地毛だよな。地球には地毛でこんな色の人間はいない。てことは


「本当に異世界に来たってことだな」


 けど現在進行形で問題がある。召喚した奴らのことだ。

 二人いる内の緑髪の方が、奇声を上げながら舞い上がってる。美少女なら良かったが汚いおっさんなので夢もへったくれもない。

 だが、問題はそこではない。そいつが白衣を付けているのが問題だ。そして、近くには俺を召喚………いや、転移させたであろう。転移装置らしき機械があるのだ。


 この二つの事柄から俺は科学系の世界に来たことが予想される。

 さて、諸君。魔法系ではなく科学系の異世界に来た俺はどんな存在だ?勇者?英雄?正解は、人権の無いモルモットでした〜。パチパチパチ………死ね!!


「c#^$•{|se<<\}?H!H!H!H!H!H!H!H!H!」


 うっわ、汚いおっさんが興奮しながら話しかけて来よった。うわ、ちょっと臭いキツいっす。

 とりあえず、何も知らないうちは従っとこう。何言ってるか分からんけど。


「%£^,+%+%|+%}$」


「言語が通じないから何言ってるか分かんねーよおっさん」


「*#\*#,•€lljfs#€€_[!++」


「いや、どう見てもおっさんだろ」


「£€$^<~$!£€$^<~$!~}%^^*!」


「は?お前その見た目で19歳かよ」


 ――ガッチャン――


 首輪をはめられた。え?油断した。つうかどこから取りだし………まずい、俺の視界が急に歪みだした。意識が……もって


 ――君にはしばらくの間眠ってもらう――


 薄れゆく意識で、そうはっきりと意味だけが伝わった。


 クソッタレ



 ◆ヒロインは目覚めにより



 ――揺れている――


 そう俺が感じた瞬間、だんだんと意識が戻って来た。………そうだ!俺は異世界にいるんだ。そう思い意識が完全に覚醒し、飛び起きた。


「お目覚めですか?救世主様」


 その透き通るような声の主を見て不覚にも俺は見惚れてしまった。まるで黄金の織物のように美しい髪、少し癖があるが逆にそれが少女の愛らしさを一層引き立てていた。瞳は深く透き通る湖のようで見つめる者を引き込む深い藍色。つまり、金髪碧眼王道美少女である。


 マジかよ、ヒロインクソかわええやん。異世界に来てモルモットとしてどれくらい生きられるかな〜とか絶望してたのにマジかよ!?


「俺はこの世界に感謝する」


「ふふ、面白いお方ですね救世主様」


 なんと!?普通なら「急に飛び起きて何言ってんだコイツ?」って思う所を、微笑んで優しく流しやがった!!えっ、好き。


 まぁ、今はそんな事どうでもいいや。状況確認をしよう。どうやら俺は馬車らしき物に乗ってるな。窓からうっすら見える馬車を引いている動物が馬では無いので本当は馬車とは言えないが、つうか何アレ?ダンゴムシ?


「ここは首都アルタリアから一番近くのバナの町という所です。首都に次いで一番活気溢れる町なんですよ」


 なんかキョロキョロしてたらヒロインがそんな説明をしてきた。まず、事前情報が全く無いので頭に入ってこねぇよ。


 第一俺はさっきのSFじみたホワイトルームみたいな所から急に中世ヨーロッパな町並み見て、混乱してんだよ。何これ?科学系の異世界じゃねぇーの?首輪も付けられたままだから夢じゃねぇのも確かだ。はっ!?魔法科学系か!それなら、話が早い。


「質問をいくつかしていいか?」


「はい!なんでも聞いてください救世主様」


 俺がそう聞いたとたん。花が咲くような笑顔になった。分かりやすすぎないか?


 この救世主様呼びから俺は、この国の勇者的存在なのはなんとなく分かる。なんとなく好感度が高い理由もそれだろう。チョロいね。てことは流れてきにチートあるわ。


「チートをくれ」


「えっ?」


 おっと、急に目が「急に飛び起きて何言ってんだコイツ?」って目になったぞ。好感度っですぐに下がるんだな全然チョロく無かったわすいません。

 

「なるほど、もう貰ってるパターンか。なら早くステータスを見る機械を見せてくれ」


 ちなみにステータスオープンとは先ほどから小声で数十回は繰り返してるので、ゲームのような世界では無いことは分かってる。なら、ステータスはギルドに行って見て貰うのが定石!そこで俺は、秘められしなんとかが分かり、チヤホヤされるのだ!!


「えーと、そうゆう機械は聞いた事も見たことも無いのでお見せ出来ないです………」


 ゑ?


 そこで俺はとある可能性が頭によぎる。


「………少し待て、もしかしてこの世界。魔法とか精霊とか無い感じ?」


「物語にはありますよ」


 つまり、現実に無いって事ですね。って、リアル中世の異世界とか終わってんだろぉぉぉぉ!!!!!!




 あとがき

 

 ノリで作ったヤンデレの別作品に負けないよう頑張るぜ。

 

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