第5話 第5宇宙で希望に輝いていた地球

 現在我々がいるこの宇宙は最初に出現した宇宙から数えて5番目に出現(誕生)した「第5宇宙」だという。現段階でこのゾーハル内にある宇宙の数は既に20を超えるらしい。

 人間が「ブラックホール」と呼んでいるものは科学者のあいだで推測や憶測、それなりの物理計算でいろいろな「仮説」が唱えられている。いまだに解明されない致命的な理由…

人間がこの狭い世界で作り出した「常識」とか「法則」に囚われ過ぎているからである。制約に囚われない自由な発想や想像こそが鍵となるのである。

「ブラックホール」、結論から言えばそれは「宇宙同士をつないでいる通路」で、各宇宙それぞれ寄り添って存在しているが、宇宙管理局にきちんとした事由を申請し許可が下りなくては通ることが許されない特別管理区域のひとつである。

 広大な宇宙には地球から出たことのない人間に知る由もない無数の「法則」が渦巻いており、「現象」が起きている。実在する“不可視な存在”を肯定出来なければ新たな分野を拓くことなど到底無理な話なのである。望遠鏡を覗いているだけでは先に進めない。

 さて、第5宇宙に浮かぶ銀河のひとつ、人間が「天の川銀河」と呼ぶ惑星の集合体の一部に、つつましく太陽を中心に周回する少数の惑星で構成された「太陽系」があった。その中に浮かんでいたひとつの小さな惑星「月」(可哀そうに今では地球の衛星扱い)、その脇に突如として生まれた星の卵。生成を繰り返した結果、月よりも大きく育ったのだ。それが「地球」である。地球の生成完了!さあ、ここからが知的生物の進化と完成を目指すプロジェクトのスタートである。

 そもそも神々がどのように地球に携わってきたのかをあらためて説明しよう。

宇宙で繰り返している「自然発生の生命体」ではなく、神々による「素晴らしい進化を遂げ、高度な文明を築き上げ平和貢献出来る完璧な知的生命体造り」のためのミッションが計画されたことから始まる。

 全宇宙の通常の惑星人ではなく、高次の神々に対して参加者を募集。自ら名乗り出た神、推薦された神、選抜された神など頭脳・技能・才能・センスあらゆる点において高度な能力を兼ね備える神々が集合したのだ。神々は男性神、女性神、中性神と様々、年齢も様々。(永遠の命なので年齢など意味がない)その数は神獣(神に仕える聖獣…人間がペットを飼うように動物が好きな神も多い)を含め、1万を超えたようだ。(日本には八百万の神・やおよろおずのかみという言葉があるが、それだけたくさんの参加神がいた例えである…

(もっともそれだけの数でも場所は一切取らないのだが。)

 なぜそれだけの数が必要であったか…地球の陸(地球内部まで含む)・海(海底から波の泡まで含む)・空(大気圏まで含む)全ての環境、気象変化は勿論、存在するあらゆる資源と生態系(人間を含む動植物はDNA・細胞レベルからの成長過程まで含む)などありとあらゆる物質や事象を極細部にまで渡り管理・コントロールして理想の空間を作り、そこで生活していく人間がそれらを利用しながら目標とする理想的な進化を遂げられるようにしたかったからだ。

 参考例として…ほんの一部(実際はそれぞれさらに細かく分類している)であるが、海の場合は海底担当、海中担当、海流担当、波担当、波の立てる泡担当など、陸の場合は土壌担当、鉱物担当、河川担当、火山担当、マグマ担当、地殻担当など、空の場合は酸素担当、風担当、紫外線担当、大気圏担当など、生態系の場合は原核細胞担当、真核細胞担当、各動物類別に担当、蔦植物担当、広葉樹担当、何百、いや何千項目にも分け担当神が自然環境全てを管理していたのである。見えない不可視の部分を含め、人間の思いつかないこんな細かいところまで神々が管理していたのか!と驚愕させられるばかりであった。

 地球のスタートはとても充実した宝石のように美しい星であった。

しかもそれだけではない…宇宙にとってとてもかけがえのない貴重なものがこの星には二つも存在している。それは鉱物の「金」と「水」である。金は医療や科学分野など広範囲での利用価値があり、水は生命維持にとって必要不可欠で大切なもの。宇宙広しといえど、それらの資源を豊富に採取出来る星はそうあるものではないのだ。



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