第42話 コブリン回避…そして
『ようやく目覚めたねレイト』
コブリン族の襲撃にグラッドとライが魔法石で応戦し、飛んでくる矢を避けながら村を離れた。
レイトは叫びながら飛んでくる矢を巧みに避け、安全な場所まで逃げ切ると気絶してしまったのだ。
陽は高くなったものの、まだ山脈を抜けてはおらず、気温も低かったため火を起こしレイトを寝かせていた。
「ユリウスの実の副作用だって?」
「そう。ユリウスの実の毒が消える時、一時的に動体視力や運動神経が鋭くなる。多くの飛んできた矢はレイトが掴んでくれてたんだ」
『お陰で君を庇うことなくここまで逃げ切れたのさ。いつもあれぐらい早く走れればいいのにね』
「それで僕は矢を持っていたのか。それで僕が走ってここに?」
レイトは手にしていた矢を放りながら起き上がる。
「いつもの数倍早く走ってた。村からかなり離れたがまだ山脈を抜けきっていない。油断すると大変だよレイト」
『まさか山脈の谷間にコブリンの村があるとは驚いたよ。でも副作用が出始めたレイトの走りには僕らも助かったよ。君を抱えて逃げていたらここには居なかっただろうね』
「身体の具合はどう?」
ライはレイトの身体を気遣った。
「大丈夫、問題無いよ」
『動けるか?レイト』
「うん大丈夫だよグラッド」
レイトは砂漠の中の魔法石を手にすると、光の指す方向を確認。グラッドとライが頷いている。
『アランド王国まで先は長い。行こうか』
再び3人は移動を始めた。
ーーーーーーーーー
砂の国から石の国へ向かっていたフォルター王子は、向かいから来るミムスの姿を見付けた。
「ちょうど良かった。砂の国まで行かなくて済んだ」
ミムスとフォルターはこぶ馬から降りる。
「何故約束の日に来なかった」
「すまない、王子。奪うのに手こずったのとこぶ馬が見付からなかったんだ」
王子は懐から金の入った袋を出し、
「言い訳はいい。約束の1000ペルサと魔法石を交換だ」
ミムスも懐から魔法石を取り出す。
ミシャが作り出した偽物だが、2人は知る由もない。
「これがブーストクォーツ。だが並みの者には使えない代物らしいが、大丈夫なのか?」
「城にある文献を読み漁ってでも使えるようにする。そして俺が砂の国を救い、王位に就く。あの厄介な魔女も追い払ってやるさ。……お前も厄介者だがなっ!」
そう言うとフォルターは懐から銃を取り、ミムスに向けて一発二発と撃った。
「お、王子。貴様!く……くそっ」
「ご苦労だったなミムス。お前は最初から信用していない。サンドワームに食われるがいいさ」
ミムスはその場に倒れ、フォルターは死を確認すると、金と魔法石を懐に収める。
(どうやら文献を読み漁る必要がありそうだ。ははは、これで王位は俺の物。あとはあの邪魔くさい魔女を消し去れば砂の国の復活だ)
「ははははは」
高笑いをするとフォルターはこぶ馬に跨り王城へ引き返した。
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