第34話 第二保管庫②
グゴゴゴゴ、ガッシュ、ガゴンガゴン、グゴッ……。
「はっ、バジリスクストーン! おい、みんな。石にされたくなかったらヤツの片目の魔法石の光を見るな!」
『おいおい、お出でなすったよヤツが。レイト、奥へ逃げよう。』
「頼むよライ。なんとかして~」
カァーーーッ、ピカーーーッ
バジリスクストーンの片目が眩く光る。
「見るな!早く奥へ!!スキレーノッ」
ライは石化無効の魔法石を掲げて唱えた。
自らの身体は霧に包まれ、バジリスクストーンの光を吸収した。
今度は奥へと逃げる2人に向かって再び唱えた。
「スキレーノ!」
ライはその後すかさず剣を振りかざした。
剣先はバジリスクストーンの鼻ずらをかすめ、首元を深く切り込んだ。
「な、何奴だ。剣技を持つのか。……あの坊やはブーストクォーツを持っていない?ミムスがうまくやったのか。」
バジリスクストーンは砂となり消滅した。
「この場は引き下がろう。ブーストクォーツを手にしたらどうなるか思い知るがいい。」
洞窟出口から去っていった。
そして魔法石錬成工房……。
「お客様、この鑑定書の通り、この魔法石は、並みの魔法石使いには使用出来ないもの、限られたものしか使えないのです。」
「なにっ。この鑑定額はなんだっ!」
「申し上げました。使える者が限られる以上、売買の価値はゼロに等しいですわ。魔法石商や宝石商は……多分引き取らないでしょう。」
「分かった、分かったよ。」
ミムスは鑑定料を投げ渡すと工房を後にした。
(くそっ、狙いが外れた。やはり砂の国の魔女に素直に引き渡すか。褒美は叩かれそうだがな。)
石の国の大きな扉から、ラクダのような動物にまたがりミムスが出てきた。
(サンドワームに狙われない様に王城に向かったら3日か……。高い褒美を催促するしかなさそうだ。)
工房のデスクでは、シャーマンの姿のミシャ。
(あの男、ナノに肩入れしたんだろう。砂の国に向かったのか。……グラッド達は一体どうしたのだ。)
ミシャは姿を変え、魔法石を掲げた。
『レイトは逃げ足だけは早いな。もうこの辺でいいだろう。ライの詠唱が聞こえたし、バジリスクストーンは蹴散らしてくれたと思う。』
「待ってグラッド。この洞窟色々な魔法石が輝いてる。ここは洞窟なの?」
そこへライが追いついた。
「見るところ、ただの洞窟じゃなさそうだ。」
すると奥から声が聞こえてきた。
「レイトさん、グラッド。一体ここに何しに?で、そちらの方は?」
「ミシャさん、あなたこそここを知っていたんですか?」
「レイトさん、ここは私の魔法石の第二保管所。私以外、触れても手にすることは出来ません。」
『それでこんなに高価な魔法石があったんだ。』
「なるほどそういうわけか。これを知らせなきゃと急いで出口に向かったが……。」
「バジリスクストーンに出くわしたと。その前にいた奴は誰だったの?」
「私も知らん。」
「多分ナノの仕業ね。本人が姿を変えていたか、誰かを雇って仕向けたか。」
『ところで大変なことになったんだよミシャ。ナノから奪ったブーストクォーツをミムスに奪われた。』
「それを持ってミムスがナノのところに向かったのかしら?」
『た、多分……。』
グラッドは、奪われたショックとミシャに手渡したかった悔しさで、項垂れてしまった。
(あの男がミムス……。面白いことになりそうね。)
「ここは私が施錠します。バジリスクストーンの侵入も無くなるでしょう。……ところでレイトさん達は何処に行こうとしてるの?」
「僕の国、風の国のアランド王国までみんなで行くところでした。」
「それであなたの魔法石が光を向けているのね。……そうね、お行きなさい。それからグラッド、あなた会話の魔法石は何処へやったの?鞄に一通り与えたはずなのに。」
「会話の魔法石?……。」
「青い小さめの魔法石。元はサファイア。相手の名を唱えると、相手が同じ魔法石を持っていたら会話が出来る。よく覚えておきなさい。レイトさん、もしかしたらあなたの砂漠の中の魔法石は会話の魔法石の効果もあるかもしれないわ。試してみる事ね。」
黄色の魔法石の効果が切れてきたのか暗くなり始めた。
『レイト、またバジリスクストーンに襲われないうちに早く向かおう。』
「石化されずに済んだ。お前達、もっと危機感を持ってほしいものなんだが。」
ライは先に洞窟を出ていった。
「ま、待ってよライー。グラッド、行こう!」
3人は洞窟を出て、再び山頂を目指した。
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