第32話 魔法石の洞窟
真っ暗な洞窟だな。
これが私-ライが洞窟に入って一番始めに思ったことだった。
仕方ない、手持ちの魔法石を使うか。
私は、腰のベルトに括ってある革の袋から本来、透明な黄色の魔法石を取り出した。
まぁ、真っ暗なわけだから色なんて分かるわけもないんだが、大体の形で手探りで探し当てたわけだ。
「シャルラ」
呪文を唱え、手のひらの上の魔法石に息を吹き掛ける。
本来、魔法石は呪文など唱えなくても使えるものなのだが、私はレイトと同じくこちら側の人間ではないので、こうしないと使えない。レイトも私と同じはずなのに何故使えるのだろうか。
ピカッ────。
魔法石は一度光ったと思ったら、中心部から光の粒子を周りに散らし、辺りを照した。
光の粒子は、消えることなく洞窟内を均等に照している。
いつ見ても綺麗だなぁ。
おっと、いけない。こんなことをしている場合ではないのだ。
しっかりと探索して、レイト達に伝えなければならない。
……それにしても、いつバジリスクストーンが出てくるかと思うと、気が気でない。
そんな中、光の粒子を頼りに洞窟内を探索していると、何かが洞窟の奥の方でキラッと光った。
バジリスクストーンか?
そう思い、利き手で剣を握り左手で革の袋から石化を無効にする水晶の魔法石を取り出す。
警戒し、その場で構えたまま数十秒が過ぎた。
違うのかな。でも、あれってバジリスクストーンの魔法石の目じゃないのか?
恐る恐る歩みを進めると、光の粒子のお陰で、その全貌がはっきりと見えてくる。
「え……?」
信じられない。
目の前には、色とりどりに光を反射する、床、壁、天井に埋め込まれたルビーにサファイア、エメラルドなど。その全てから魔力を感じられることから、力が強い弱いに関わらず、全ての石が魔法石であることが分かる。
「す、凄い……。こんなに種類の違う魔法石を発掘出来る場所があるなんて」
思わず独り言を呟いてしまうほど、その光景は異様なものだった。
本来、鉱物とは金や銀のように採れる場所が限られていて、分かれているものだ。
なのに、ここは意図的にごちゃ混ぜにしたように様々な石がある。
これも、レイト達が言っていた砂の国の魔女が関係しているのだろうか。だとしたら、バジリスクストーンの急激な繁殖力も頷ける。
早く、これをレイト達に知らせないと!
私はその一心で、洞窟の入口で待っているレイト達の元へ走った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます