第29話 美しく輝く瞳
___小さなそよ風と鳥達の鳴き声が朝を教えた。
僕は咄嗟にグラッドに目を向けた。
だが、グラッドは寝る前と様子は一切変わっていなかった。
自分の魔法石で目を覚まさせようと思ったが、ミシャさんに錬金してもらった魔法石は2回全て使い果たしてしまった。
「おーい。ライ、グラッドはまだ目を覚ましていないよ」
「知っています。もっと前から起きていたので…」彼は言った。
「ミムスも帰ってこないし、グラッドも目を覚さないし、何でだろう。こんな時に」僕はため息を吐きながら呟いた。
「そうですね。モンスター討伐の依頼も引き受けてるので、もう少ししたら中腹まで歩こうと思っていたのですが…中々そう簡単にはいきませんね」
その時僕はあることを思いついた。
「グラッドの鞄に何か入っていないかな、“意識を取り戻させる魔法石”とか」
ライは少し悩んでから返事をした。
「でも、魔法石は相当珍しく高価なものと聞いています。
そんな価値のある物を持っているのでしょうか?持っていたとしても使って良いのでしょうか?」
「大丈夫。グラッドの為に使うから_僕達が今グラッドの意識を取り戻さないともう旅どころではなくなってしまうだろ」
「そう、ですね。確かにそれはグラッドさんを救う為ですから」
______
僕達はグラッドの意識を白い魔法石で取り戻した。
「おーいグラッドぉ!」
「おーい起きろー」僕は耳元で口を大きくして言った。
グラッドの美しく輝く瞳はが少しずつはっきりとしてきた。
________
「なんだよレイトとライ。耳元でうるさいよ」グラッドの声がテントの中で鳴り響いた。
理不尽な文句を言われたが、意識を取り戻してくれて心強いと思った。
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