第24話 ライ=アッセント①



 朝日を浴びながら僕らは、歩みを進めていた。


「ねぇ、今大体どこら辺まで来たの?」

 あと、どれくらいで中腹? と僕は列の最後尾で手前を歩くグラッドに声を掛けた。


『うーん、まだまだだろうね。この山脈、凄く標高が高くてね、中腹位だと雲の中なんだよ』

「へぇ~。ん? 雲の中? 今、雲の中って言った? じゃあ、まだまだ上じゃん。雲なんて上のまた上だよ!」

 ふざけた高さしてるよ、と僕がぼやくとグラッドは笑いながら

『だから、まだまだって言ったじゃん~』

 と僕の方を振り返った。


 そういえば、ミムスはグラッドの知り合いと聞いているけど、ライはいったいどんな繋がりがあって護衛をしてくれているのだろうか。

「なぁ、グラッド。ライさんとは知り合いなの?」

『いいや。たまたま空いていた冒険者を雇っただけだよ。ミムスは、指名で雇ったけどね』


 何者なんだろうね、とグラッドは呑気に答えた。

 ただ、プロフィールの方に『魔法石使い』とあり、ギルドの受付に確認したところ魔法石を操るということしか分からない。


 中性的な顔立ちに淡緑の髪。瞳は少し青みがかった透明なものだ。声は、この旅を始めてから1度も聞いていない。

 性別もミムスと違ってプロフィールの方に表記されてなかったから、女性か男性かも分からない。


 あまり表情が動かないから、感情も読み取れなし、そのせいでどこか取っつき難い感じがある。


 でも、これから護衛をしてもらうわけだし、お互い話ぐらいはしとかないとなぁ、と感じてはいる。


「う~ん。グラッドは、どう思う?」

『え~。まぁ、悪い人ではないよ』

 絶対にね、とグラッドは確信めいた言い方をするのに対し、僕は、なんで? 、と聞いた。


『あ、レイトには話してなかったか。ほら、僕って砂の国の魔女に魔法をかけられてたでしょ』

「あぁ、そうだね」

『その影響だよ。僕に対して悪意を持っている人は、黒い靄がかかって見えるんだ。他には赤や青とか、人によって違うんだよね。なのに、ライという人物はそれらが全くなかった。何もない人は初めて見たよ。でも黒くはなかったから、少なくとも僕らに危害は加えないと思うよ』

「そう、なんだ……」

 僕は、グラッドの瞳にどの様に写っているんだろうか。声にして出そうと思ったが、聞いてはいけない気がして、口を閉じる。


『どうしたの?』

「いや、何でもない」

『そう。せっかくだし、ライと話してきたら? 何か分かるかもよ』

 ほら、とグラッドは僕の背中を押した。

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