第21話 ギルドの変装者
どうやらここは冒険者ギルドのようだ。
僕はここで装備やジョブを決めてから山脈へ向かおうと思った。
『レイト、早く行かなきゃ」グラッドは呟いた。
「別に急ぐ必要がないだろ…」僕はため息を吐く。
その時ギルドが砂埃を立てながら砂の中へと潜っていった。
『あー、レイト。だから言ったのに。ここら辺のギルドは砂の国の魔女とか敵の目から逃れるために定期的に砂の中に沈むんだよ』
はっきり言って僕はそんなこと知らない。ここで旅をすることなんて初めてなのに…
「どうやって行くんだよグラッドぉ...」
『こっちが聞きたいよ。取り敢えずギルドが沈んだ場所まで行こう』
ギルドは跡形もなく砂の中に沈んでしまっている。
__________
僕達はギルドが沈んだ場所のちょうど真上のところに立った。
「ここ、だよね」
『そう。ここの下に沈んでるよ』グラッドは言った。
僕は砂の下を探ってみた。
どれだけ探っても砂が押し寄せるだけで特に何の変化も見られなかったが、微かにギルドの屋根の色が見えたような気もする。
『相変わらずレイトは馬鹿だなぁ...よくそんなんで砂漠を越えれたね』グラッドが僕の目を呆然と見つめてきた。
『まあいいや、この魔法石を使うんだよ』グラッドは続けた。
本気で僕をバカにしていたのではなかったのだろう。
ところでグラッドが言う魔法石の機能はどんなものなのだろうか。
『この魔法石は2メートル以内の砂を操る魔法石で、特に名前はない』グラッドは貝の鞄から真四角の石を取り出した。
「へぇ...って」その瞬間グラッドは空気を読まずに砂の中にぽっかりと通路を開いた。
“ゴゴゴォオオ”
「ぎゃぁああ‼︎」僕の足場が消え去ってしまい、砂の下へと落ちてしまった。
グラッドは僕を上から見下ろして笑い転げた。
『ふふふっ、レイトごめん!間違えてレイトの真下に穴開けちゃったよ!』
かなり離れていて声が途切れ途切れにしか聞こえない。
すぐにグラッドも上から僕の所へと飛び降りてきた。
僕の目の前には巨大な黄色のギルドが立ちはだかっていた。
『入ろうよレイト‼︎」グラッドは快活にドアを開けて冒険者ギルドに入って行った。
僕もグラッドに続いて入って行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます