第20話 冒険者ギルド
装備を整え、国を出て直ぐに山脈に向かうと思っていたのに、僕とグラッドは町を歩いていた。
そろそろ山脈に向かってもいいと思ったんだけど、やっぱりまだ何か準備しなきゃいけないものがあるらしい。
「なぁ、グラッドまだ国から出ないのか?」
『あぁ、まだだよ。護衛を雇わないと道中危険だからね』
それも国と国とを行き来するんだから当然さ、とグラッドは当たり前の事のように言った。
「え? もしかして……いやもしかしなくても、砂漠の中に護衛も雇わずに入った僕ら調査団って論外?」
『はぁ? お前たち護衛を雇わなかったのか? 砂漠を通るにしてもさぁ! はぁ──』
グラッドは頭を抱えて、本当にあり得ない、舐めてんだろ、とこちらを睨んできた。
いや知らないよ。こんな発展した国があることも知らなかったんだからさ。砂漠が危険だって知るわけないじゃん。心の中でそう毒づいていると、グラッドはこちらに地図を見せてきた。
『これ見て、特にこの砂漠の境目。なにが書いてある?』
「……なにも書いてない」
そこにはなにも記されていなかった。それも不自然な程になにも。
『何でなんも書いてないと思う? 誰も分からないからだよ。ここへ調査に行ったこっち側の人間は、まずいない』
「え……じゃあ僕って?」
『正直言って、君生きてるの? て聞きたいよ』
グラッドは、まるで珍獣を見るような目で僕を見た。
『まぁ、実際に生きてるし可能なんだね砂漠越って。あ、なんだかんだ言っていたら着いたね』
「? どこに?」
聞き返すと、グラッドは目の前の大きな建物を指差してこう答えた。
『どこって? 冒険者ギルドでしょ?』
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