第18話怒りの原因
魔法石を使って上手いこと国に入ったレイト。
グラッドの家に足早に向かう途中、多くの古代兵とすれ違った。
いかつい鎧を装備した古代兵。ガシャガシャと音を立てて扉に向かっていた。
古代兵を横目に、レイトはグラッドから言われた通り突き当りを右に折れる。少し先に赤い屋根の家が見えた。
(あの家か。グラッドの住まいなのかな……。)
家に戻ったグラッドは、慌てて自室に入っていく。
「帰るなりどうしたんだグラッド。」
父親はドアにもたれながら話した。
『ごめん父さん。また国を出るよ。砂の国の魔女が手下を仕向けてきた。僕を探してるんだ。それとこの魔法石。』
掌ほどの大きな結晶。それは透明の六角柱の水晶で、中に何かが渦巻いて見える不思議な魔法石だった。
赤い屋根の家に辿り着いたレイトはドアをノックする。
10歳くらいの子供がドアを開けて応対してくれた。
「僕はレイト。グラッドの家はここですか?」
「ちょっと待っててね。……。兄ちゃーん、レイトって人が来てるよ。入ってもらっていい?」
すぐにグラッドがやって来た。
貝殻の鞄に透明の魔法石を入れながらグラッドはレイトの手を引きドアを出た。
『兄ちゃんはまた国を出る。今度はいつ帰るかわからないって父さんに伝えておいて。』
「国を出るって?せっかく入ったのに?ミシャさんを待ったらどうなの?」
『鞄に入れた魔法石を見ただろ?砂の国の魔女の目的はこの水晶の魔法石。ナノが落としたのをすかさず奪った。怒りの原因もこれだろうね。』
パタパタと鞄を叩くグラッド。
『魔力を増幅する唯一の魔法石さ。これがないとナノは砂の国から出てこれないんだ。今頃はミシャと戦っているよ。』
「また国を出てどうするんだよグラッド。」
『南の緑の国か、西の風の国アランド王国。この国を出る前に、とりあえずミシャに再会した時の為に魔法石の原石を買わなきゃ。君の持ち物だよ。』
「僕はこれがあるよ。……ちょっと待って。」
レイトはミシャに錬金してもらった砂漠の中の魔法石を手にして目を瞑った。
すると仄かな光がどこかを指している。
「グラッド。僕の魔法石は道標にもなるのかも。今光が指してる方向は西のアランド王国だと思う。多分研究室の方向。建物をイメージして念じてみたんだ。」
『なるほどね。その魔法石は色々な効果を発揮するようだ。じゃあ原石は必要無いね。さて、西か南か。安全そうなのは西のアランド王国だろうね。さ、行こうか。君の家、あるんだろう?しばらくお世話になるよ。はい、通行証。』
石の国の通行証を受け取るレイト。グラッドはさっさと先を歩いて行った。レイトが慌てて追いかける。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます