第17話 通行証

 

ふと僕は通行証を持っていないことを思い出した。


その時扉の先から沢山の歓声が聞こえた。

「砂の国の魔女の手下が攻めてきた。総勢約6000匹だ。国の古代兵は配置につけ‼︎」

何だ。砂の国の魔女が攻めてきたのか?


「グラッド、何が起こったんだ!?」僕はグラッドに聞いた

『砂の国の魔女が、僕を追っている。僕にケルチの魔法をかけてからずっと砂の国の魔女は僕を探している。砂の国の魔女自らは来れないから手下に僕を探させたんだ。ミシャは今砂の国の魔女と戦っているからね』


「グラッド、それなら早く隠れなきゃ‼︎」僕は咄嗟に言った

僕の声と被さって石の国の民の声が響き渡った。


『分かってる。僕は国の家に隠れるから何とかしてレイトは扉から国へ入って‼︎家の場所は入ってそのまま真っ直ぐ行って突き当たりを右。その道沿いの赤い屋根の家だよ!』


不安であったが今はそうするしかないのだろう。

「分かったよグラッドまた後で会おう」僕が少し後ろを向いた隙にグラッドの姿は一つも見えなくなっていた。


「グラッドが帰ってきたよ…お父さん‼︎」小さな男の子が口を大きくして言った


僕は扉の前に立っている女性に入れるかを聞いてみた。

「えっと、すみませんが通行証を持っていない方は扉を通すことはできません」女性は恥ずかしそうに言った。


その時僕は良いことを思い付いたのだ。ミシャさんに錬金してもらった魔法石は2回困った時に助けてくれるというものだったはずである。

ということは僕はこの扉から国へ入ることも可能なのだろう。


僕は扉の先へと何度も念じた。


すると女性は言った。

「通行証をお持ちの方ですね。扉から国へお入り下さい」

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