第16話 石の国の扉


 

僕の目の前には大きな岩の建造物が佇んでいた。大きな岩の規則的に作られた穴からは暖かな色とりどりの光が漏れている。


「ねぇ、グラッド。まるで古代遺跡を見ているようだよ。それも、当時の様子を。凄い……凄いよ、グラッド」

 僕が目の前の光景に言葉を失っている様子にグラッドは、

『そうだね。大昔からそれも、古代文明の時代からこんな技術があったなんて、ロマンを感じるよ。レイト、今から石の国の扉に向かうから、少し歩くよ』

「扉?」

『あぁ、入口のことだよ』


 そう言って、グラッドは岩の建造物沿いを再び歩き出した。


 暫く歩くと、岩の建造物が一部人口的にくり貫かれた場所に出た。どうやらここが入口のようだ。

「通行証を提示してください」

『はい、これまだ使えますか?』

「えぇ、多分大丈夫です。確認しますね」


 1国の入口というのだから、屈強な大柄の門番が立っていると思っていたが、そこにはミシャさんと同じようなローブを着た小柄の女性が立っていた。


 女性は、グラッドから渡された通行証? を手にすると、魔方陣が描かれた地面にそれを置いた。


────ピー。


 通行証が置かれた瞬間、少し耳障りな機械音が辺りに響く。


「?! グラッドこれは?」

『入国検査だよ。石の国は、シャーマンの国だからね。こうして、入国検査をするんだよ。音が鳴ったら、本物の通行証。鳴らなかったら期限が切れているか、偽物なんだよ。この通行証は、ここらの国の間で使われていて、これがあると簡単に出入りができるんだ』


 グラッドの解説に、シャーマンの国だとそんなことも出来るのか、と呑気に感動していると僕はとても大切なことを思い出した。


「あ」

『どうしたの?』


 グラッドが、僕の顔を覗き込んできた。


「どうしよう……僕、通行証持ってない」

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