第15話 古代文明


「ここからはこの石畳の街道を進んでいけば1時間ほどで街に着くはずさ」


グラッドが夕焼けで色づく空に照らされる石畳の街道の先を指差した。


街道の石畳はまるで鏡の様に研磨されていて、空の赤みが反射してキラキラと宝石の様に輝いている。

しかも驚くべくことに敷き詰められた石は正確な六角形をしていて街道全体が幾何学的な美しさを醸し出しているのである。


「この石の道は凄い!凄い技術だよ!」


僕はこれまで見たことのない綺麗な石畳に驚愕の声を上げる。


「これで石の国が何故石の国と呼ばれているかわかるだろ?

石の国は石材が豊富でしかもその技術は他国には真似できないほど高い」


「こんな凄い技術があるなんて信じられないよ」


「でもね。この石畳は今の石の国の技術ではもう再現できないんだ」


「えっ?どう言うこと??」


「君は砂の国に何を調査に来たんだい?」


グラッドは質問には答えず話題を突然調査団の事に切り替えてくる。


「そう言えばグラッドに調査団の目的を言ってなかったね。

僕はここからずっと西にあるアランド王国のとある研究所に所属しているんだけど、

アランド王国では東の砂漠には古の文明があったと言う伝承が残っていてね。

僕たちはその文明の都市遺跡を探して調査するために来たんだ」


「そうだと思ったよ。砂の国の広大な砂漠を調査する理由なんて他にないからね。

この石畳を作ったのはその古代文明さ。石の国はその末裔の国なんだ」


「じゃあ僕たちの国に伝承されている古代文明の都市は実際には石の国にあったと言うこと?!」


「違う。その文明は君の国の伝承通り砂の国にあったのは間違いない。もちろん実際に砂の中に遺跡も眠っている。でも常人が辿り着くのは困難だとは思うけどね」


「やっぱり遺跡はあるんだね!!凄いよグラッド教えてくれてありがとう」


「その文明は魔法が発達していて、魔法で石も自在に操り、石に魔法の力を付与する事も出来たんだ」


「魔女の力!?」


「そうだね。魔女はその血を色濃く引いているのかも知れない」



陽が完全に落ち、辺りがいよいよ暗くなって来た頃、夜の帷に黄色い灯火が見えてくる。

そして、その光は進むにつれそ天高く届く様に上に上に増えていった。


「グラッド。あの光は何??」


「ああ。あれが今向かっている石の国の街だ」


「光があんなに上にまで続いているんだよ?」


「巨大な岩山をくり抜いて出来た街だからな。あの光は人がそこで暮らしている証だ」


グラッドの言う通りよく見ると巨大な塔のような岩山の輪郭が明らかになってくる。


「凄い。これが石の国!?」

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