第13話 石の国の魔女②
「それじゃぁ、例のエメラルドを貸して」石の国の魔女は僕を横目に呟いた。
僕は何も言わずに懐からエメラルドを差し出した。
「レイトさん、貴方こんなに珍しい石を持っていたのね」
「…母から貰った石です」僕は小さな声で言った
「交換成立。これなら良い魔法石が作れそうよ」
石の国の魔女は僕を落ち着いた様子ではっきりと見つめている。
魔女は見た目とは想像がつかない程の圧倒感であった。
その時、石の国の魔女はエメラルドを少しずつ新たな魔法石へと作り変えていった。
辺りには火花が飛び散り、石の国の魔女の姿は火花のせいでよく見えなくなってしまった。
『ふふっ、レイト、驚いた⁉︎ これが石の国の魔女(シャーマン)だよ』
「グラッド、火花で何も見えないよ‼︎」僕は口を大きくして言った
少しすると石の国の魔女が花火の先に薄らと見えた
「出来たわ。まだ何に使うかはわからないけど、この魔法石はレイトさんが何か困った時に助けてくれるはずよ」
「ミシャさん、ありがとうございます」僕は大きく頭を下げた
「あなたのエメラルドには沢山の思い出が詰まっていた。だから良い魔法石が出来たのよ…この石の名前はレイトさんが決めると良いわ」
「僕にはまだこの魔法石の名前を決められません。あのエメラルドは母から貰った物なので、なんだか僕が決めるにはもったいない気がします」
風が石の国の魔女の美しい髪を大きく揺らした
『レイト、名前決めちゃいなよ。名前のない魔法石が可哀想だよ』グラッドはこちらを向いて言った
「グラッドの言う通りよ、レイトさん」
「確かに、そうかもね。この石は砂漠の真ん中の岩で作ってもらったから…砂漠の中の魔法石にしよっかな」僕は少し恥ずかしがりながら言う
『はははっ、変な名前!』
「いいじゃない。そういうのの方がしっくりくるわ」
皆僕が付けた魔法石の名前を受け入れてくれたようだ
「ミシャさん。急に言うのもアレだけど、僕は1週間前、調査員のみんなからはぐれてこの砂漠に辿り着いたんだ。少し前まで調査員の皆、隣で歩いていたのに急に砂嵐が起こって、砂が落ち着いたら皆んないなくなっていたんだ」僕は言った
「え、まさかまたナノが…」石の国の魔女は曇った表情で言った
『ナノってあの砂の国の魔女のこと?』グラッドは聞き返した
「そうよ。ナノがレイトさんの調査団たちが砂の国に入ってきたから…この砂漠に閉じ込めていつかレイトくんは砂に飲み込まれてしまうわ」
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