第7話 ケルチ
北に明るく輝く星を目指して僕はグラッドと共に砂の大地を歩く。
昼はあれだけ暑かった砂漠も、夜になるとどんどん気温が下がって寒いくらいだ。
体重を少し預けるだけでも沈み込む細かな砂の大地はそれだけ体力の消耗も激しいけど、寒い夜だということもありそこまで苦にならなかった。
最初のうちは••。
どれだけ歩いただろう。足が重い。
グラッドは慣れているのだろうか、疲れた様子も無く一向に歩くスピードも落ちない。
も、もう無理だ。ついていけないよ。
「グラッド待ってよ。もう僕の足が棒になっちゃうよ」
僕はグラッドに弱みを見せたくなくて苦しくても我慢して歩いてきたのだけど、とうとう弱音を吐いてしまった。
「足が棒になるの??君の国にはそんな魔法があるのかい?」
「魔法じゃないよ。僕の足が疲れてもう歩けないってこと」
「そうなんだ。君は見たと思うけど僕は魔法でケルチにされたからね。そんな魔法があるのかと思ったよ」
「ケルチって、ウロコの化け物の事??やっぱり君があの化け物なの!?」
「そうさ。やっぱり見たんだね」
「な、何だよ。あれは」
「古代からこの世界に住む魔物さ。
僕は太陽に当たるとそのケルチという化け物になる魔法をかけられてしまったんだ。
でも心配しないで。ケルチになっても僕には意識が残ってる。君を襲ったりはしないから」
「どうしてそんな魔法をかけられたの?」
「砂の国の魔女の怒りを買っちゃってね」
「砂の国の魔女?いったい何をしたの?化け物にさせられるような事!?」
「原因はさっきの魔法石だよ。詳しくは言えないけどね。砂の国の魔女は見た目は美しい少女だけど、中身は恐ろしい悪魔さ」
ゴゴゴ•••
突然、僕が座り込んでいる地面の砂が震え始めた。
「サンドワームだ!」
グラッドが身構え辺りを見回す。
「まだ遠い!走るよ!」
「サンドワームって何!?」
「砂の国の捕食者だよ!いいから、走るよ!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます