第5話 砂の王国
『水と食料は、無いけど、魔法石はあるよ』彼は小声で恥ずかしそうに言った
「な、何ですか。魔法石って」
『ふふっ、この世界に魔法石を知らない動物がいるなんてっ…これだよ』彼は揶揄うように僕を笑った
彼は貝殻の形をした大きな鞄を手に持った
鞄には“封印”と書かれた札が貼られている
『これ、剥がして』彼は札に指をさした
「わかった」僕は勢い良くお札を剥がした。その時部屋一面に美しく七色に輝く光が広がった
「綺麗…」光は彼の月のような瞳を照らし、美しく輝いている
『これが魔法石。この赤いやつは空腹を減らす石だ』
僕は少し悩んでからこう言った「すみません、その赤い石を下さい‼︎」
『そう簡単にはあげられないよ。これは昔旅をして見つけた思い入れのある品なんだ。まあ、君の大事なものをくれたら話は別だけど」
僕は自分の鞄の中にあるエメラルドの宝石のことを思い出した。
あれは生まれた頃に母から貰った大事な物だ。
だが、今この赤い石を手に入れなければ僕は餓死してしまうのだ。
少し悩んでから僕は言った
「これで、どうですか?」手にはエメラルドの宝石が輝いている
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