10.スマホの機能

 グロー歴504年8月21日



 創作魔法を教えてもらった翌日、ボクはこの世界に一緒にやってきたスマホについて調べてみることにした。


 今日、リオは用事があるってお出かけしてるし、ちょうどいい。



 この世界にやってきてから4ヶ月以上経ってしまってるけど、これまで確認しなかったのはアップデート中で操作を受け付けなかったからだ。


 なぜかアンテナが立ってて電波を受信してるけど、これも神様の仕業なのかな?



 さて、起動してみると···


 なんじゃあこりゃ!?


 OSがアンド◯イドじゃなくて『』!?


 しかもバージョンが『15.6』って···どんだけいじくったんだよ!だからしばらく使えなかったのか?


 意外と神様って技術進んでるのね。まさか委託?まぁ、どうでもいいや。



 アプリは元の世界と同じものが一応使えそうだけど、SNSとかは使えなさそうだし、元の世界の情報を得ることも発信することもできなさそうだ。

 こればっかりはさすがにムリだね。


 使えそうなのは地図と音楽や動画再生アプリ、電子書籍、日記、カメラ、天気予報、電話ぐらいか。ってか、電話って相手いないんだけど!?


 これも創作魔法と組み合わせたら使えるようになるのかな?


 後で確認してみようっと。


 内蔵データはSDカード込みで元の世界のままだった。ってか、容量のGBが『∞』になってるけど?わけがわからん···



 アニメも見れてしまうなあ。ってことは魔法を創作する時の資料として役立ちそうだね。



 新規メールはなかった。神様からの連絡事項はないようだ。まぁ、そんなに頻繁に連絡されても困るんだけどね。



 今のところ、一番役立つのは地図アプリかな?

 道と街の情報があり、ご丁寧に所要時間まで計算されたけど、タップしても詳細情報は出なかった。当たり前か、営業時間とか出たらドン引きするし。


 地図だけでもチート過ぎるなぁ。いいのか?異世界来てこんなに最初から便利な状況で!とりあえず使えそうならありがたく使わせてもらおう。


 ところで電池ってどうなるんだ?現在25%まで低下してきてるけど、これって充電はどうするんだ?


 もしかして、それも創作魔法?一般魔法でも雷系統はあるそうだから、充電の魔法を創作してみるか。


 まずは充電についてイメージを具現化するためにおさらいしておこう。言うまでもないが電気だ。そして、充電の電気は直流で、普通のUSBだと5Vで最大2.4Aぐらいが限界かな?スマホの急速充電だと確か9V2Aだったかな?


 とりあえずどれだけ魔力が必要なのかわからないので、USBポートに人差し指を近づけて充電用の電力を創作魔法で創り出してみる。


 う〜ん、ちっとも反応しない。少しずつ出力を上げてみるか。おっ!いい感じがしてきたぞ!

 すると画面に『』と表示された。


 へっ?なんじゃいこの表記は!?電気じゃなくてもいいんかい!


 いったん充電魔法をやめて、今度は魔力単体で送り込んでみると、さっきと同じ『』の表記になった。案外単純だったなぁ〜。


 なんか、スマホが魔力で動くんだったらもはや魔道具化しちゃってるっぽいね。魔法ステッキみたいなもの?ファンタジーっぽくないなぁ~。


 しかし、魔力を送り込んで気づいたことがある。



 魔力の特性は電気と非常に似ている。



 魔力の圧力、電気と同じように言えば『』ってとこかな?これを上げてやると『』の表記に変わった。


 さらに魔力の流れを多くすると、電池の残量の増え方が早くなった。つまり、電気で言う電流だ。魔力だから『』ってとこかな?



 ということは、


    魔力=魔圧✕魔流

    魔力量=魔力✕時間


 ってことになる。



 これって、魔法を使う上で非常に重要なんじゃないかな?特に元の世界で電気を扱ってたボクにとっては非常にとっつきやすい。


 意外なところで魔法の深淵を覗いてしまったような気がするなぁ〜。とりあえず100%近くまで充電しておこう。


 充電速度は元の世界より桁違いに早かったよ。バッテリーどうなってんだ?電気2重層キャパシタ(※)じゃあるまいし···よくわからん。



 さて、ちょっと実験してみようかな?


 創作魔法で電話できるってことだから、お出かけしてるリオにかけてみよう!


 電話はスマホの場合、無線通信と一緒で音声情報を電波に乗せて飛ばしている。この時、スマホの中で飛ばしやすい電波の形にして送り出し、受け手側では飛んできた電波から音声情報を取り出して聞こえるようにしているんだ。ラジオも同じ原理だね。


 ということで、無線通信の原理をイメージしてみる。そして、受け手のリオの姿をイメージしてみると、連絡先にリオが現れた!さすがに電話番号は表示されないけどね。


 ってことは、相手先を一度登録できたら次回以降はタップして魔法使うだけでいいって事だね。


 では、かけてみよう!プルルルって、呼び出し音まで再現されちゃったよ。そこまでイメージしてないけど無意識でやっちゃったかな?3コールしたらつながったようだ。



「もしもし?リオ?聞こえる?」


『な!なんだー!?アキの声が頭の中に響いてる!?どうなってるんだー!?』


「良かった。成功したみたいだね」


『アキ!?いったい何したんだよ!?ビックリして持ってたもの落としちゃったじゃないか!』


「ごめんごめん!ちょっとスマホ使って連絡を取り合う創作魔法を試してみたんだ。うまいこといって良かったよ」


『はぁ〜、まったく驚かせないでくれよー!』


「いや、ほんとゴメンって!」


『う〜ん、とんでもない創作魔法を創ったもんだなぁー。帰ったら詳しく聞かせろよー』


「うん!そうするよ。ありがとうね!」



 そして終話をタップして通話を終了した。


 やはりこの世界で通信技術は元の世界ほどではなかったから驚かせちゃったね。


 頭の中に響いたってことは、念話に近いってことかな?ということは、声に出さなくても会話はできそうだね。


 電話の創作魔法は通信のイメージと相手先の人物のイメージの組み合わせということがわかった。逆に相手先からの通話はどうしよう?そのあたりはリオと相談してみるか!




 ※電気2重層キャパシタ:電気を蓄える素子であるコンデンサは急速充放電が可能だけど、蓄えられる電気量は非常に少ないのです。

 ところが電気2重層キャパシタは大容量の電気を瞬時に充放電することができるため、1分程度の短時間使用であればバッテリーよりも長持ちするんです。

 実際に台湾では架線レス路面電車として駅に停車中に充電して走行する方法で営業運転してます。

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