離婚されたので全力で潰しました! by公爵令嬢
スクール H
第1話離婚されたので全力で潰しました! by公爵令嬢
初めての短編です!
楽しんで貰えたら幸いです!
−−–
「・・・もう一度言ってください」
「だから、お前には付き合ってられん。離婚だ、離婚!」
とある日の休日。突然夫であるクーズナ・メーン男爵に告げられた。
「理由をお聞きしても?」
ストレートで光り輝く金色の長髪を手でかきあげる。整った目鼻に綺麗な肌。誰もが見惚れるような美男子だ。
「理由など簡単だ。お前のことが好きではないからだ!」
散歩日和な晴天のもと、小さな庭で午後の紅茶を楽しんでいた私に大声で告げる。この家の使用人たちは陰ながら私を嘲笑っているだろう。
「本当に離婚をするのですか?」
この家に嫁いできて早半年。夫婦の営みも最近では行われず、夫は朝帰りがほとんど。遅かれ早かれ別れるのは目に見えていた。
「そうだとも!そして僕はビーチナ王聖女と結婚するのだ!」
「・・・なるほど。そういうことですか」
女遊びをしていると噂で聞いてたけど、まさかあの・・王女と結婚しようとするなんて。
「馬鹿ですね」
「あ”あ”嫉妬か!」
近くで使用人たちの笑い声が聞こえる。
「いいえ、別に嫉妬なんてしていません。むしろ清々しています」
私は飲みかけのダージリンティーを飲み干し、立ち上がる。傍に控えてきた私の使用人に耳打ちをして、夫・・・いや、元夫に一瞥もくれずに歩き出す。
「おい、なんか言ったらどうなんだ!」
挑発的に言う元夫。振り返るとニマニマと口角を上げ、見下した目でこちらを見る。なんて言おうか思案して、頭を下げた。
「今までお世話になりました、クーズナ男爵・・・・・・」
「なっ!」
満面の笑みで私が言うと、声を上げて驚く。顔はみるみるうちに赤くなり大声で叫びだす。
私は猿の―元夫の暴言を無視してクソな家を後にした。
「お嬢様、荷物の整理、馬車の用意が終わりました」
先程指示した通り全てを終わらせた使用人が言う。私は頷き、後に続く。
少しした所に大きな馬車が用意されており、私は乗る。走り出す前に後ろを振り返り、思いいれの無いクソな家を眺めた。
「はぁあ〜〜〜〜疲れたぁ〜〜〜」
出発した馬車が走ること30分。王都中心である王城の側にある巨大な邸宅の前に泊まった。
「久しぶりの我が家ね」
白とグレーな色合いをして、国でも最高の彫刻師の作品がいくつも並んでいる。門をくぐると壮年の髭を蓄えた男性と黒髪の短髪青年が出迎えていた。
「お父様!お兄様!」
私は二人に駆け寄ると抱きつく。二人も目尻に涙を浮かべて抱き返してくれる。
「「ラーナ!!」」
私ラーナ・フランは、我家フラン公爵家・・・に帰ってきた。
私の生家はこの国でも三本の指に入る有数の貴族で、位は公爵家と貴族の中では一番高い。
母は私が三歳の時に亡くなっており、父と兄によってこれまで育てられてきた。
教育、作法、全てにおいて一流の教育を受けて育った私。
その私の結婚相手が一歳年上のクーズナ・メーン男爵。
学生時代から付き合っており、当時から色々と目立った人だった。
男爵という低い地位ながら勉学や剣術では類まれな才能があり、おまけに美男子。将来この国を背負う期待の青年であった。
非常に明るく人当たりの良い性格で、誰にでも優しい。そんな所に私は惹かれ交際を始めた。
結婚も当初は周りから反対されたが、彼が誠心誠意に説得したことで私達は結ばれることになった。
公爵令嬢と男爵。身分の違いすぎる二人の結婚生活。
私は今までの広い屋敷から、男爵家の貴族の中では小さい屋敷に移り住んだ。慣れない生活で苦労することもあったが、それでも彼との夫婦生活に心を踊らせていた。
でも、楽しかったのは結婚してから一ヶ月目まで。
だんだんと夫婦の会話も無くなり一緒にいる時間も減った。
彼の朝帰りが増えてきて、顔も合わせなくなる。
私が話しかけても無視して部屋も別々になった。
元々公爵家出身である私に不満を持っていたのか、男爵家の使用人たちは嫌がらせをしてきて、それが彼の指示だと分かったのは離婚する一ヶ月前。
問い詰めたが知らん顔して、逆に私を何故か叱ってくる。
その時から私も彼への期待を止めた。
いつか元通りになるかも知れないという期待を。
何故彼は私と結婚したのか?そればかりが気になり自分で調べてみると驚愕した。
宮廷の彼を知る人物の話では、
『あいつは自分の爵位を上げるために公爵令嬢と結婚したんだよ』
だそうだ。
私を愛していたわけでもない。今まで私に掛けていた言葉全てが嘘。
その真実を思い出すだけで黒い笑みが溢れる。
「お、おいラーナ。どうしたんだ」
白い手紙を握りしめ父の書斎でニヤニヤしている私を奇怪な者を目で見る兄。私はハッとしていつもの表情に戻し、もう一度手紙に目を戻す。
離婚を告げられた次の日。起きたら手紙が送られていた。
私宛だったため読んだが、内容を見て紙を握り潰してしまう。
しわくちゃになってしまった手紙には簡素に
『ラーナ・フラン令嬢、明日王宮に来い。 byグーズナ男爵、ビーチナ王聖女』
と書かれていた。
仮にも公爵令嬢である私への上から目線な手紙。
「それにしても、ビーチナ王聖女とは」
ビーチナ王聖女。名前の呼びにくいその人はこの国の第三王女でこの国の国教、正教会より聖女に選ばれた存在。彼女自身が王聖女と名乗っているのだが・・・
正直言って嫌われている存在だ。
王女であるが故に権力を他人に振りかざし横暴な振る舞いばかり。勉学もまともにやらず遊びふける毎日。聖女の役目である毎週の祈りもサボり続け、この国の要人たちはほとほと手を焼いている。
ただ、おっとりとした目に透き通る肌、クリーム色の髪をした美人のため、下級貴族や平民には一定の人気がある。
「ふふふ。彼らは馬鹿だね」
聖女と男爵が公爵令嬢を蔑ろにして婚約。呆れるぐらい馬鹿だ。
「私の今までの想いを踏みにじるとは。全力で潰そうかしら。ふふふ」
私は目と口角を釣り上げて、一人笑う。
完全に蚊帳の外になった父上と兄上が呟いた。
「出た、ラーナの腹黒い部分」
私はそれを無視して、部屋を後にした。
友人たちに手紙を書くために。
準備を終えた私は翌日を迎えた。
清々しい朝を迎え、お気に入りのドレスに着替える。
父上たちは私の離婚の対応に追われて徹夜なのか、目には隈ができていた。
私は昨日の準備と返信の確認をして、招待された時間まで待つ。
時間になると、私はウキウキの気分で馬車へと乗り込む。
これから公然の場で非ぬことを言われるかも知れないというのに浮かれている私を見て、父上達のみならず使用人たちも驚いている。
私はそんなことも気にせず、馬車を出発させた。
王宮に着いた私を出迎えてくれたのは意外にもこの国の第一王子、ラエル王子だった。一個上でグーズナとも友人関係にある人。
金髪の短い髪をしたそのイケメンは、私を見て申し訳無さそうに頭を下げる。
「この度は我が妹と友人が申し訳ない」
権力を振りかざさず、誠心誠意に頭を下げて謝る王子。その姿を見て、どうしてこの人の妹があんなのなのか疑問に思う。
「ラエル殿下、頭を上げてください。貴方が謝るべきではありません。私は大丈夫ですから」
笑顔で答えると怪訝そうに聞いてくる。
「その〜どうしてそんなにラーナ嬢は笑顔でいるのですか?」
「ん?それはもちろん、別れることが出来て嬉しいからです。それと、これから起こることを想像すると・・・ふふふ。自然と笑みが溢れるのです!」
二十代の私の満面の笑みが相手にどう写ったのかわからないが、殿下は何とも言えない引きつった笑みをしたのだった。
王宮の大広場のドアを通って入ると、既に数十人が中にいた。
「重役登場とは、どこまでも偉そうな女だ」
中央にある2階へ繋がる大きな階段。その上から言葉をなげかけて来たのは元夫だった。無駄に派手な装飾の入った青いタキシードを着こなし、こちらを眺める。
そんな彼の腕に自分の腕と胸を絡ませて、こちらもまた見下した目線で見てくるのはビーチナ王聖女。海のように青々しいドレスを身に纏い、高そうな首飾りを身につけ、聖女専用の銀の杖を片手に持つ。
一方で私は対称的な赤いドレス。二人が青を着てくることを予想してこの色にした。
周囲の人々を見ると、知っている顔が多い。ビーチナに尻尾を振る貴族や令嬢、クーズナの取り巻きたち。他、フラン公爵家と敵対する奴ら。
「ごきげんよう、ビーチナ王聖女様、クーズナ男爵」
片足のつま先をたて、華麗にお辞儀をする。
「お手紙をいただいてこの場に来たのですが・・・どうして私をお呼びになられたのですか?」
そう問うと、待ってましたとばかりにグーズナが声を大にする。
「お前を呼んだのは他でもない!まずこの場で改めて貴様との離婚を宣言する。そしてここにいるビーチナを僕の新たな妻とする。ただ、それだけで呼んだのではない!私が貴様を呼んだのは、貴様の隠してきた本性について公の場で明らかにするためだ。陰で逃げたり言い訳をしないよう、ここにこさせたのだ」
「・・・・・・」
言葉を引き継いでビーチナが続ける。
「まず、貴方の最大の罪はこんなカッコイイ夫がいながら、わたくしの兄で第一王子のラエル兄様と不倫をしたことです!」
・・・・・・は?
ガタンッ
この広場の閉められたドアの向こう側で誰かがずっこける音がした。恐らくドアまで見送りしてくれたラエル様だろう。
「何と、酷いことを!」「まさに悪女よ!」「国を揺るがすことだ!」
周囲がうるさく騒ぎだす。
私はあまりにも突拍子も無い言い分に目が点になる。
「まさかバレるはず無いと思ったのか?馬鹿な女だ。僕は全てを知っていたのだ!」
鬼の首を取ったように声高らかに言うグーズナ。
「証拠は?」
「証拠は兄様へのお手紙の中に貴方のものが入っていたからよ!しかもそれだけでなく、王宮に来た時よく兄様と話をしていたからよ。あれは絶対色目を使っていたわ!」
「根拠は?」
「女の勘よ!」
・・・駄目だこりゃ。話にならない。
「次の貴方の罪は、男爵家のお金をこっそり使ったことよ!」
「証拠は?」
「貴方が常日頃からそんないい服着れるはず無いわ!」
「他にお前の罪はビーチナをいじめたことだ」
「証拠は?」
「ビーチナが言っていた」
「ラーナ公爵令嬢が他の男といるのを見たわ!」
「証拠は?」
「この前のラエル様のパーティー、クーズナ男爵ではなく他の人と来ているいるのを見たわ!」
・・・駄目だこりゃ。話にならない。
上から答えていくと、公爵家の支援があるから、ビーチナ王聖女とは人生で2度しか会ったこと無いし話したことは無い、第一王子のパーティーだから行かなければならなかったし、同伴者必須だったがクーズナが風邪をひいていたから兄様と行った。以上。
完全なこじつけ、証拠の裏取りなどまるでなっていない。
「何か言ったらどうなの!」
「そうだそうだ!」
「本性を見せる!」
本性ね。
「ふふふ。ぷっ、ふふふふふふ」
私は今までの話に耐えられず吹き出してしまう。
「さて、皆様。愚痴は吐き終えましたか?私はまだですが」
私は笑顔で階段へと近づいていく。しっかり馬鹿な二人を睨みつける。
しかし、まさか私が恋した相手がこんなにも愚かで馬鹿でクズでゴミでろくでなしで使えなくて気持ち悪くて見栄っ張りで何も考えていなくて頭が悪くて・・・。
悪口はここでよそう。
とりあえず、こんなにも何も分かっていないとは・・・。
「何がおかしい!お前は今糾弾されているのだぞ!」
話にならない。この元夫は勉強しかできない人間らしい。
「では問題です。この国において、地方で糾弾する権利を持つのは?」
「王族と貴族だ!」
自信満々に答えるが・・・まだ分からない?
「ではここ王都では?」
「王族だぞ!それが何だと言うんだ。ビーチナは―」
「ビーチナ様は正確には王族の籍の外れた聖女ですよ」
!!!!!!
この場にいる私以外で伯爵家以下の貴族が驚愕の表情を浮かべた。見ていて面白い。
「わ、わたくしが王族でないというのですか!」
「はぁあ〜〜〜」
馬鹿すぎる質問にまたしてもドアの向こうから、今度は長い溜息が聞こえた。
私は気にせず馬鹿に現実を教える。
「分からないのですか?公に公表されていないだけで王族からは籍を外されて臣下になっております」
「な、何でよ!」
「当たり前じゃないですか。仮にも王族ですよ。王家にとって正教会も一臣下に過ぎない。そこへ送り込むのだから臣下とされています。しかし、正教会は国教。だからこそ相手の顔を少し立てるために、民衆には王族・・として送り込まれたのですよ。伯爵以上の貴族なら知っているはず。ねえ、皆さん」
私は周囲の伯爵以上の奴らを見渡す。すると全員が目を逸らした。
「分かりましたか、王聖女、いえ、ビーチナ聖女様」
私が笑顔でいうと悔しそうに地団駄を踏む。
「それでは第2問!聖女とは何ですか?お答えください」
「はぁ?!え、えっと、正教会の象徴?」
何故自信がない?仮にも本職の聖女様でしょ!
「1、いや、2割正解。はい、クーズナ男爵!」
「正教会の象徴として民たちを導き、国の繁栄に貢献し、神のために自らと人々の身を穢すこと無く平和を願う存在、だ。だがそれが一体どうしたと・・」
「ピンポーンピンポン、正解です!そして私が言いたいのは身を穢すこと無くという部分」
何人かの敏い貴族がはっとする。
しかし、元夫は未だ?状態。本当に学園首席かよ。
恋は盲目とはまさにこの通りだ。
「では、第3問。正教会の教本、聖典の第3章12節には何と書かれている?」
「《神に選ばれし聖女は自身の身を穢すような行いをしてはならぬ。特に恋と呼ばれる人を時に惑わし時に狂わせるものを、聖女がしてはいけない》・・・・・・まさか!」
「そうです、そうです。神に選ばれた聖女は恋をしてはいけないのです!」
やっと気づいたか、愚か者め!
「つ・ま・り、聖女であるビーチナ様が行ったのは明らかな正教会への背信行為。なんと、聖女失格なのです!」
私が決定的な一語を言うと周囲がざわめき出す。
本当は、第3章12節のことなど教会関係者も覚えているか分からない文言。歴代の聖女たちも恋人がいたり結婚したなど噂ではざらにある。そんなあやふやなことで問いただすのは・・・と思うかも知れないがこいつらが馬鹿だから出来たことだ。
元夫、いや猿は聖典の内容が全て頭に入っているにも関わらずいけないことだと分からなかった。
いや、拍手を送って応援したいわ。その世界と身分に阻まれた恋路を。
でも、その先は地獄が待っているだろうけど。
「そんなの、う、嘘だわ!私は聖女よ!」
「残念だけど、今日で貴方の贅沢人生は終わりね」
「そ、そんなぁあああ!!!」
その場で泣き崩れるビーチナ。
ギーーーン
そこでドアの開く音が重なった。
「に、兄様!どうしてここに!」
「ラ、ラエル、何故ここにいる。いや、そんなことよりこの糞女を止めてくれ!友達だろ!」
第一王子の登場に広場が静まり返る。ただ、醜い二人の叫びが響く。
「どう助けろと、クーズナ?」
「だ、だから・・・そうだ!お前、そいつと不倫していたんだろ!だったらお前は悪いことをした。王族命令でそいつを処罰してくれ」
非ぬ疑いを王子にまで向ける友人を冷めた目で見るラエル殿下。
「僕がここにいるのは例の件を伝えるためだ」
「例の件?」
私は話の内容が分からず首を傾げる。
だが、猿二人は先程までの狼狽えとは真逆の嬉々とした表情に戻る。
「兄様!父上を納得させましたか!」
「ラエル、よくやった!友人として礼を言うぞ」
嬉しそうに抱き合う二人。そんな二人にラエル殿下は笑顔で告げられた。
「何を勘違いしている。お前ら二人の婚約は認められないし、クーズナの公爵への昇進も断じて認められない。逆にクーズナ、お前は爵位取り上げだぞ」
「「はっ!?!?!?!」」
目が点になる二人を見て、私は思わず噴き出したくなる。
ここで改めて何故クーズナが私と結婚したのか確信した。
クーズナ―猿は、爵位を上げるために私と結婚したのだ。公爵家と繋がりを持てば自ずと出世するはず。男爵家だからこそそう思ったのだろう。
爵位の低い貴族たちが何としても出世して爵位を上げたいという気持ちはわかる。だが、それだけで私の、乙女の恋心を利用しようとしたのは許せない。
私の父は厳しい人だから、様子見として特に干渉しなかったのだろう。そこでしびれを切らした猿が王女で聖女のビーチナ―猿2に目を付けた。王族と結婚して爵位を上げる。
猿2も被害者な部分もあるが、私の心を傷つけたことでは同罪だ!
「ラエル殿下」
「ああ、分かっている」
この喜劇をそろそろ終わらせるか。
全力でちゃんと地獄に落としてあ☆げ☆る♪。
「愚妹に友人ではなくなった者。お前らに話がある奴らを連れてきた。ちゃんと対応しろ」
そう言って従者に合図したラエル殿下。その従者が入り口のあのドアを開けた瞬間、大量の人が雪崩込んできた。
そして流れ込んできた人々が口々に喋りだす。
「娘に爵位目的とは、許さん!」 私の父。
「妹を傷つけるとは!」 私の兄。
「我が正教会はお前らを破門する!」 正教会の偉い人。
「不正な金が動いていたぞ!どういう事だ!」 財務官の人。
「国庫の金に手を付けるとは!」 王宮官の人。
「聖女の地位を使って詐欺を働いている!」 監視官の人。
「おい、借りた金を返せ!」 とある地方伯爵。
「私を騙したわね!」 二人のせいで全財産を失った令嬢。
・
・
・
他多数の被害者らがいた。
ちなみに彼らは私が昨夜手紙を書いて呼んだ友人や知り合いたち。
公爵令嬢であるからこそ横のつながりがいっぱいある。
多くの人に詰め寄られている猿二人は絶望に暮れてヘナヘナと地面に座っていた。
「ざまぁ〜見やがれ!」
私は遠目からそれを見ながら私は笑顔で言う。
「ラーナ嬢、腹黒いです」
「あら、何かいいましたか?」
「い、いえ、何も。ただ、少しやりすぎなのでは」
戸惑ったように仰っしゃるが、私は首を振る。
「いいえ、そんな事はありません。ただ潰すだけでは面白くない。徹底的に潰してこそスッキリするのです。彼らに、公爵家、そして私を怒らせたことを後悔させただけですよ」
虎の尾を踏むものではありませんよ。
その後について。
色々な罪を犯していた二人はもちろん捕まった。
流石に元王族&聖女と男爵ということで死刑は免れたものの、仲良く遠くの島への流刑となった。
私はというと、未練なく新しい人生を送れている。
とあるパーティー。
「こんばんわ、ラーナ令嬢」
「あら、また口説きに来たのですか、ラエル殿下」
「僕のことは気軽にラエルとお呼びください」
甘いマスクのイケメンに言われて思わずドキッとする。だが、すぐにいつもの令嬢顔に戻った。
「何度も返事をしたように、私は誰かと結婚も恋も考えておりません」
あの離婚から一年。
最近何故かラエル殿下から交際を申し込まれている。きっぱりと断っているのだが、諦めてくれない。
「どうして私なのですか?ただの遊びですか?」
「それは・・・実は僕は前から君のことが好きだったんだ。ただ、クーズナと君が交際したと知ってからは一歩引いてきたんだ。でも、もう邪魔者はいない」
「そう、なんですか」
腹黒い笑みを浮かべて急に言う。
・・・・・・まさか。いや、あるわけ無い、でしょ。この王子が。
まあ、それはいいとして。
「王子、こんな言葉を知っていますか?『生まれと結婚はいつか後悔をする』」
「聞いたこと無いが?」
「一年前、私が経験したことですよ」
私はそのまま出口へと歩き出す。
「君はこれからどうするんだ?」
「もう恋は懲り懲りです。気楽に生きていきますわ」
「僕はまだ諦めていないからな」
「ご自由に」
さて、この二人の恋路の行方は?
−−–
真相は皆さんの想像におまかせをします。
一応ハッピーエンドで終わらせました。
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